アダム・ゴルカ:トルコ練習曲(ピアノのために)

¥1,650

税込|菊倍|12頁
序文(英語・日本語):アダム・ゴルカ

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説明

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主にアメリカやヨーロッパで大活躍しているピアニストのアダム・ゴルカによる作品が初出版です。日々厳しい練習を行っていた10代のアダム・ゴルカは、時折休憩も兼ねて寄り道をすることがあり、ホロヴィッツやヴォロドスのパラフレーズの採譜に勤しんでいました。ある日、彼の師であるジョゼ・フェガリとのレッスンでヴォロドス編曲の「トルコ行進曲」を弾いた際、ゴルカ自身がショパンの練習曲 Op.10-2で日々悩んでいることを知っていた彼は、モーツァルトの有名なロンドを自己流にパラフレーズした上で、この2曲を組み合わせてはどうかと提案してきたそう。その結果が今回出版される「トルコ行進曲(Etude Alla Turca)」です。今回特別にアダム・ゴルカの許可を得て当時10代のゴルカが演奏する「トルコ練習曲」の音源をお届けします。

作品について 
「トルコ練習曲」は、私の亡き師であるジョゼ・フェガリ(José Feghali / 1961-2014)からの挑戦をきっかけに誕生しました。ジョゼは10代の私に対して、ショパンの練習曲の全曲を学ぶことを厳しく求めていました。けれども、私はそれらの名曲を忍耐強く学ぶことや、時には自身の上達の遅さから目を背けるために、ゴドフスキーの「冗談」(Badinage)や、特にホロヴィッツ、ヴォロドスのパラフレーズに見られるようなヴィルトゥオーゾの世界に魅了されるようになりました。当時、彼らの楽譜はあまり出回っていなかったので、練習の合間を縫ってはこの2人の作品を熱心に採譜して演奏していました。(この作業を密かにやっていたことで、2倍のスリルがありました)。ある日、ジョゼとのレッスンでヴォロドスの「トルコ行進曲」を弾いた際、私がショパンの「練習曲 作品10 第2番」で日々悩んでいることを知っていた彼は、モーツァルトの有名なロンドを自己流にパラフレーズした上で、この2曲を組み合わせてはどうかと提案してきました。そして、その結果に2人とも驚いたように記憶しています。

振り返ってみると、この「トルコ練習曲」は、当時の私がピアノの練習で感じていた憂鬱さを取り払ってくれました。そして、この破天荒な作品の創作に伴う笑いと充実した時間が、私の技術を想像以上に高めてくれたと今では思っています。この点において、私はピアノを演奏する仲間たちにも、この小さくも異様な作品を笑顔で、ときどき笑いながら演奏して欲しいと考えています。いずれにしても、そうすれば、身体はより自由に、耳はよりオープンに、手はより軽快に動くようになります。美しい印刷、製本をして下さったことに加えて、作曲してから20年近くも経っていたこの作品の出版を提案してくださった江崎昭汰氏には大変感謝しています。出版に際しては私自身のライブ録音から採譜する必要があり、多くの楽しい思い出がよみがえりました。音楽に関する冗談で大笑いし、壁や天井を揺らしていたジョゼ・フェガリにこの曲を捧げたいと思います。(アダム・ゴルカ)

アダム・ゴルカ
1987年生まれのポーランド系アメリカ人ピアニスト、アダム・ゴルカは、ベートーヴェン生誕250周年を記念して、アメリカの3都市で「ピアノ・ソナタ全32曲」の演奏と配信を行った。その舞台裏は「32@32」というプロジェクトとしてYouTubeで公開されている。ソリストとしては、サンフランシスコ交響楽団、ヒューストン交響楽団、アトランタ交響楽団、ダラス交響楽団、ミルウォーキー交響楽団、インディアナポリス交響楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、上海フィルハーモニー管弦楽団、国立芸術センター管弦楽団(オタワ)、テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ(カラカス)と共演している。また、アンドラーシュ・シフ卿の“Building Bridges”プロジェクトの一環として、ルール・ピアノ音楽祭やチューリッヒ・トーンハレでリサイタルを行ったほか、武蔵野市民会館(東京)、コンセルトヘボウ(アムステルダム)、アリス・タリー・ホール(ニューヨーク)でもリサイタルを行っている。ジョゼ・フェガリ、レオン・フライシャーに師事したほか、アルフレート・ブレンデル、アンドラーシュ・シフ、リチャード・グード、マレイ・ペライア、フェレンツ・ラドシュ、リタ・ワーグナーからも指導を受けている。

追加情報

重さ150 g
サイズ30 × 23 × 0.1 mm