説明
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マルク・ブシュコフによる解説
初の作品を書くというアイデアは、私の最初の興行主の一人であるカルロ・シュライバーから、アントワープで行われる自身の演奏会シリーズで何か特別なものを披露してほしいという依頼を受けたのがきっかけでした。
私は自分を作曲家だと思ったことはなく、最初から最後まで腰を据えて何かを書く勇気もなかったので、とても困難な決断になりました。
この作品は、私の同僚であり偉大な音楽家であるゲオルギー・ドゥブコと一緒に演奏することになるだろうと思っていました。ゲオルギーは叙情的でドラマチックなクラシック音楽のスペシャリストであると同時に、即興演奏の技術も非常に優れています。ですから«Facets»の中間部には、二人で舞台上で演奏した即興に基づく「カデンツァ」が配置されています。
演奏の際には、より劇的な演出にするためにステージ上にマイクを設置してもらうようにお願いし、即興のときに使えるようにしました。
«Facets»という名前は、フランスで生まれ育ち、ロシアとウクライナの教育を受け、もちろんユダヤ系でもある私の文化や性格といった様々な側面を表現するために選びました。
マルク・ブシュコフ
ロシアとウクライナの血を引くベルギー人ヴァイオリニストであるブシュコフは、洗練された音楽家であり、ヨーロッパ中の一流オーケストラや指揮者と共演を通して、国際的なキャリアを築いている。
オーケストラとの共演では、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とマリス・ヤンソンス、hr交響楽団とクリストフ・エッシェンバッハ、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とフィリップ・ジョーダンなどと共演している。また、ハンブルク交響楽団、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団、ベルギー国立管弦楽団、マリインスキー劇場管絃楽団、ヴェルビエ音楽祭室内楽団などとも共演し、クリストフ・エッシェンバッハ、ヴァレリー・ゲルギエフ、スタニスラフ・コチャノフスキー、ドミトリー・リス、リオネル・ブランギエなど多くの指揮者たちと共演している。
ブシュコフは精力的なリサイタリストとして、ウィグモア・ホール、カーネギー・ホール、アムステルダム・コンセルトヘボウ、エルプフィルハーモニー・ハンブルク、サンクトペテルブルクのコンサートホール、チューリッヒのトーンハレ、ベルリンのコンツェルトハウスなど世界の一流コンサートホールで演奏している。2019年以降は、スイスのヴェルビエ音楽祭に常任の客員として招かれている。賞歴としては、モントリオール国際ヴァイオリン・コンクールで優勝、チャイコフスキー国際ヴァイオリン・コンクールで第2位入賞などがある。
マルク・ブシュコフは、ヴァイオリニストの家庭に生まれた。祖父から最初のレッスンを受け、クレア・ベルナール、ボリス・ガルリツキーに師事。ミハエラ・マルティンと共に、マルクはクロンベルク・アカデミーの大学院課程でヤング・ソリストとして研鑽を積んだ。2018年10月からは、エドゥアルド・ウルフソンに指導を受けている。現在は、リエージュ王立音楽院(ベルギー)及びリヒテンシュタイン国際音楽アカデミーの教授を務めている。
Edwulstrad RMIC Ltd.より、1742-44年製のCarlo and Michelangelo Bergonzi(ヴァイオリン)を貸与されている。