2023年4月の新刊情報(フランチェスコ・リベッタ、ベアトリス・ベリュ、アダム・ゴルカ & レイモンド・ルーウェンサール)

2023年4月の新刊情報をお届けします。本日より印刷版、ダウンロード版のご予約の受付を開始いたします。これらの楽譜の販売・発送開始予定日は2023年4月25日です。

フランチェスコ・リベッタ:ピアノ編曲集 第1巻(ボーイト、アルファーノ、ジェズアルド&トラバーチ)

楽譜表紙(MP-05902)

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イタリアを拠点に世界で活躍するコンポーザー=ピアニスト、フランチェスコ・リベッタの編曲作品集を出版します。第1巻は、ボーイト、レオ、アルファーノ、トラバーチやジェズアルドといったイタリア人作曲家によって生み出された作品のピアノ独奏用編曲が収められています。それらの編曲は、ピアニストに委嘱されコンサート用に書き下ろされたという華麗なものから、クラヴィコードの作法にならって装飾を施す程度に留められたものまで多彩なスタイルを持ち合わせています。

収録楽曲
アッリーゴ・ボーイト/リベッタ編曲:選ばれた悪魔 – 歌劇《メフィストフェーレ》の主題によるパラフレーズ
レオナルド・レオ/リベッタ編曲:喧嘩の歌 – 喜歌劇《愛は苦しみを望む》より レチタティーヴとアリア
フランコ・アルファーノ/リベッタ編曲:もしあなたが沈黙するなら – 《タゴールの抒情詩》
ヴェノーザ公カルロ・ジェズアルド/リベッタ編曲:3つのマドリガル
ヴェノーザ公カルロ・ジェズアルド/リベッタ編曲:ガリアルダ
ジョヴァンニ・マリア・トラバーチ/リベッタ編曲:トッカータ II

どんな世代も、過去の時代から受け継がれてきた音楽作品に、独自の関係性や観点をもっている。何世紀もの間、一般大衆は基本的に過去の音楽には興味を示さず、また過去の時代の音楽が特殊な名声を帯びているケースも存在したが、主として目新しいものを評価してきた。いずれの場合も、新しい楽器が発明されると、その楽器のために新旧様々な作品を転用し、現代的なものへと改作する傾向があることにも気づかされる。オーケストラや声楽の曲を鍵盤楽器に書き写すことは、リュートやチェンバロなど非常に古くから行われているが、ピアノの場合は新たな意味を持つようになった。
―フランチェスコ・リベッタの解説より

フランチェスコ・リベッタ
リベッタはローマでG.マリヌッツィに、パリでJ.カステレードに作曲を学ぶ。演劇や映画のための音楽、アコースティック、室内楽、オーケストラのための音楽を作曲している。ピアノソナタ、交響曲、バレエ(マイアミのヴィーナス)、電子音楽、室内楽(ティンパニ協奏曲、チェロソナタ、バイオリンソナタ、トリオなど)、映画音楽、舞台劇のための音楽など、その作品目録は多岐にわたる。オトラント、ローマ、レッチェで上演されたオペラ《L’Assedio di Otranto》がCDでリリースされている。A.M.ジウリとG.ザンピエーリに師事し、交響曲、オペラ(ドン・ジョヴァンニ)、バレエ(くるみ割り人形、眠れる森の美女、カルメン)のレパートリーを指揮している。M.メッシニスはリベッタを「ブラヴィッシモ」(Classic Voice誌)、「彼の身のこなしは透明感に溢れている」(G.バルビエリ、Repubblica誌)、「指揮者とピアニストのフランチェスコ・リベッタによってすべてが完璧にコントロールされていた」、「驚異の名人芸」(M.ヴァローラ、La Stampa紙)と評している。


マーラー/ベアトリス・ベリュ:アダージェット – 交響曲第5番より(ピアノ独奏版)

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ピアニストのベアトリス・ベリュは、マーラーの作品の中でも有名な「アダージエェト」(交響曲第5番より)をピアノ独奏用に編曲しました。2018年11月にベアトリス・ベリュが自身のYouTubeチャンネルに、この編曲の演奏動画を投稿したところ、数の多くの方々から楽譜の出版を望む声が上がりました。
マーラーの交響曲は複雑であるかつ大変美しい音楽でありますが、ピアニストたちにとって彼の作品を演奏する機会は限られていました。今回、ベアトリス・ベリュは新しい文脈でマーラーの作品を体験するために、独自の視点を持ちながら編曲に取り組みました。マーラーの作品の精神に忠実でありながら、ピアノ独奏用に調整された編曲は、ピアノでマーラーの音楽を蘇らせたい方々にとってはマストアイテムになることでしょう。


ロベルト・シューマン/アダム・ゴルカ:夕べの歌 作品85 第12番(ピアノ独奏版)

楽譜表紙(MP-05902)

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ロベルト・シューマンが作曲した4手のためのピアノ作品集《小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品》の第12番にあたる「夕べの歌」をアダム・ゴルカが一人でも演奏できるようにピアノ独奏用に編曲しました。

10年ほど前、友人と一緒にシューマンの4手ピアノ曲を読んだとき、すぐに《夕べの歌》に惚れ込みました。この曲は、《小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品》という、魅力的だがあまり演奏されない作品群の最後を飾るものですが、その演奏効果は他の作品とは別格です。バッハのサラバンドやショパンのチェロソナタの《ラルゴ》と並んで、30小節足らずでこれほどまでに世界を表現できる曲は多くありません。この曲は、リサイタルの最後に観客に終わりを告げるのが最適であるだけでなく、自分と自分のピアノに「おはよう」「こんにちは」と話しかけるのにもぴったりです。
―アダム・ゴルカの解説より

アダム・ゴルカ
1987年生まれのポーランド系アメリカ人ピアニスト、アダム・ゴルカは、ベートーヴェン生誕250周年を記念して、アメリカの3都市で「ピアノ・ソナタ全32曲」の演奏と配信を行った。その舞台裏は「32@32」というプロジェクトとしてYouTubeで公開されている。ソリストとしては、サンフランシスコ交響楽団、ヒューストン交響楽団、アトランタ交響楽団、ダラス交響楽団、ミルウォーキー交響楽団、インディアナポリス交響楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、上海フィルハーモニー管弦楽団、国立芸術センター管弦楽団(オタワ)、テレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ(カラカス)と共演している。また、アンドラーシュ・シフ卿の“Building Bridges”プロジェクトの一環として、ルール・ピアノ音楽祭やチューリッヒ・トーンハレでリサイタルを行ったほか、武蔵野市民会館(東京)、コンセルトヘボウ(アムステルダム)、アリス・タリー・ホール(ニューヨーク)でもリサイタルを行っている。ジョゼ・フェガリ、レオン・フライシャーに師事したほか、アルフレート・ブレンデル、アンドラーシュ・シフ、リチャード・グード、マレイ・ペライア、フェレンツ・ラドシュ、リタ・ワーグナーからも指導を受けている。


ラフマニノフ/レイモンド・ルーウェンサール:ここは素晴らしい場所(ピアノ独奏版)

楽譜表紙(MP-03503)

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レイモンド・ルーウェンサール(1923-1988)はアメリカ生まれのピアニストで、アルカンやシャルヴェンカ、ヘンゼルト、ルビンシテインなどの知られざる作曲家の作品を探究、再評価に貢献したことで知られる。そんな彼が演奏会のアンコールとして好んで弾いたルーウェンサール自身による編曲である「ここは素晴らしい場所(How Fair This Spot)」(作曲:セルゲイ・ラフマニノフ)の楽譜が今泉響平の採譜によって甦ります。また、大英博物館のクラシック部門担当のキュレーターを務めるジョナサン・サマーズが解説を執筆しました。

RAYMOND LEWENTHAL (1923-1988)
Provided by International Piano Archives at Maryland

レイモンド・ルーウェンサール
テキサス州サンアントニオに生まれたレイモンド・ルーウェンサールは、カリフォルニア州ハリウッドで育った。1943年に高校を卒業した後、シューラ・チェルカスキーの母であるリディア・チェルカスキーの下でピアノを学んだ。地元のピアノコンクールで優勝すると、助成金を得てニューヨークのジュリアード音楽院でオルガ・サマロフに師事。サマロフは、1948年、当時25歳であったルーウェンサールをディミトリ・ミトロプーロスが指揮するフィラデルフィア管弦楽団にデビューさせ、最も有力な代理人であったアーサー・ジャドソンとの契約にも大きく貢献した。ルーウェンサールは全米でツアーを行い、1951年にはニューヨークのタウンホールとカーネギーホールでリサイタルを開催した。