グリンカ/佐伯涼真:序曲 歌劇『ルスランとリュドミラ』(演奏会用ピアノ独奏編曲)

$15.35

税込|菊倍|16頁
序文(英語・日本語):佐伯涼真

説明

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ムラヴィンスキーの指揮(録音)で広く知られているグリンカ作曲の歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲。意外にもこの作品の演奏会向けのピアノ独奏編曲版は存在するようで存在していませんでしたが今回、ピアニストの佐伯涼真が原曲に敬意を払いつつ非常にピアニスティックな作品に仕立て上げました。演奏にはかなりの技術が要求されますが、”演奏会用編曲”と謳っただけに華やかで特にアンコールピースに最適の作品です。


佐伯涼真による演奏

佐伯 涼真による解説
歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲は、世界中のオーケストラによって演奏され続けて来た、まさにクラシック音楽の定番ともいえる楽曲であるにも関わらず、ピアノソロ用の編曲、とりわけピアニストが演奏会で披露するレベルのピアニスティックな編曲(Concert Arrangement)は、私の知る限りこれまで存在しなかった。しかし、私がこの序曲に出会った時、その疾走感溢れる楽想に一瞬で心を奪われ、編作が完成した際には舞台上で素晴らしい演奏効果を発揮してくれるに違いないと思い、今回取り組むことを決意した。
編曲に際しては、原曲への敬意を表しつつも、ピアニスティックかつ演奏効果の高い音響を求めて編作に取り組んだ。音階の上下行を左右のダブルオクターブで弾くよう指示し、再現部等で繰り返される旋律線や音型については、その配置・奏法・和声まで敢えて改変している部分がある。こういった編作の内実には、時間と共に変化する音楽の非固定性や、展開部を聴取し経験してきた我々の記憶にとって、やはり音楽に変貌があってほしいという自然な感覚、また聴衆に驚きをもたらしたいといった私自身の個人的な願望も内包されている。それは、この曲を舞台上で演奏するということの意味、即ちこの楽譜が「Concert Arrangement」であることの所以でもあり、人がピアノを演奏したい、あるいは聴いて心を動かされたいと思う欲求の根本たる部分とも通ずるものがある。この序曲に限って言えば、やはり聴衆と興奮を共有することで、初めて演奏される意味が与えられると言っても過言ではないのではないだろうか。技術的な要求レベルは高く、数々のヴィルトゥオーゾたちの演奏を彷彿させる仕上がりとなっている。
本作品の編作にあたって、その膨大な知識や知見によって私に多大なる影響を与え、またこの『序曲』の編作を提案してくださった増子明洋氏に、また出版を提案してくださった細谷滝音さんや江﨑昭汰さん、更に日頃から造詣深いレッスンで刺激を与えてくださり、私の音楽観を日々成長させてくださっている中井恒仁先生や森山智宏先生など、お世話になっているすべての方々にこの場をお借りして心からの感謝を申し上げたい。


佐伯涼真(さえき りょうま)
2000年さいたま市生まれ。7歳よりピアノを始める。第32回全日本ジュニアクラシック音楽コンクールピアノ部門高校生の部第1位。第3回K Pianoコンクール高校生部門第1位。2019年、桐朋学園大学音楽学部音楽学科ピアノ専攻に入学。第26回フッペル鳥栖ピアノコンクール2020フッペル部門第2位。2021年桐朋ピアノコンペティションファイナリスト。2022年桐朋ピアノコンチェルト・コンペティション第1位。これまでにピアノを山上有紀子、武田美和子、中井恒仁、チェンバロを有田千代子、室内楽を村上寿昭、落合美和子、作曲を森山智宏の各氏に師事。

追加情報

重さ 200 g
サイズ 30 × 23 × 0.1 mm