説明
This article can be switched to the following languages: English
本作は2019年、作曲者が父を亡くした年の春、霊園の霧に咲く桜から着想を得た音楽である。この世が一段明かりを落としたようにほの暗くなる、夕暮れの青い時間から始まり、漆黒の夜の悲しみの後、遥かに朦朧とした桜が立ち現れる。その幽玄の彼方の微かな明るさに向かって、亡き父は歩いて行く。微笑みの別れ。死は終わりではなく、新たな生の始まりを感じてほしい。Débutの部分には、日本のうた「さくらさくら」が薄く香る。
2019年12月6日東京「サロン・テッセラ」にて、委嘱者の杉浦菜々子、小川至により初演。
徳山 美奈子
作曲者である徳山美奈子による演奏(多重録音)