説明
没後14年を経てなお評価の高い、フランスの作曲家リュック・フェラーリ(1929-2005)。満を持して2019年2月にブリュンヒルト・マイヤー=フェラーリの監修で、全作品紹介やインタビュー・書簡などを収録した豪華本が刊行された。まだまだ情報の少ないフェラーリの作品の全貌を知ることのできる必携の1冊となっている。本書はソニック・ユースのサーストン・ムーアが設立したEcstatic Peace Libraryより刊行。序文をサーストン・ムーア、イントロダクションをジム・オルークが執筆しているほか、ピエール・シェフェールとの書簡やフェラーリのインタビューが収録されている。
Luc Ferrari(1929-2005)
エコールノルマル音楽院にて、ピアノをアルフレッド・コルトーに、作曲をアルテュール・オネゲルに、 パリ国立高等音楽院にて、楽曲分析をオリヴィエ・メシアンに師事。初期はピアノ作品を中心に作曲していたが、やがてピエール・アンリやピエール・シェフェールと共にミュージック・コンクレートの主要作曲家となる。「逸話的音楽」と呼ばれる個性的な作品様式を確立し、現代音楽界のみならず各界の前衛音楽家から絶賛される存在となる。2002年の初来日以降、数回の来日を重ね、大友良英らとアルバムを作るなど(おそらく唯一の日本盤で手に入るCD)、ジャンルを越境した存在だった。2005年に惜しまれつつも逝去。
上記の通りソロ作品の日本盤は発売されていないにもかかわらず、これまで「リュック・フェラーリとほとんど何もない」(ジャクリーヌ・コー著/椎名亮輔 翻訳)「リュック・フェラーリ センチメンタル・テールズ」(リュック・フェラーリ著/椎名亮輔 翻訳)の2冊が翻訳出版されているなど、死後益々注目を集めている。婦人のブリュンヒルトらが中心となって設立したプレスク・リヤン協会は、作曲コンテストを開催するなど、フェラーリ作品のみならず広く現代音楽普及に努めている。