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作曲者の解説より…
「夢のあとに」はフォーレが作曲した多数の歌曲の中で最も有名で親しまれているものです。1870年代に作曲された初期の作品で、歌詞は作者不明のイタリア語の詩をロマン・ビュシーヌがフランス語へ自由に翻訳したものです。知名度もあるために様々な楽器のために編曲もされ、最も有名なものはチェロとピアノのための編曲です。「夢のあとに」という題名に感化され「ほかの夢のあとに?…」という題名をつけることになりましたが、その理由は「ほかの夢のあとに?…」は偉大な作曲家であるセルゲイ・ラフマニノフの歌曲「夢」の歌詞( 作詩:フョードル・ソログープ) は”別の夢” を中心としているからです。この歌曲は「6つのロマンス」(作品39)の5番目に位置し、またアール・ワイルドによる非常に優れたピアノ編曲も存在します。フォーレの「夢のあとに」は主人公が夢に戻りたいと願いながらも夢から目が醒める様子を描いていますが、ラフマニノフの「夢」は夢と夢見る者の概念を中心としています。ワイルドの編曲は、少々の装飾的なパッセージが追加されているものの、原曲に忠実な“ピアノ曲化” ( パーシー・グレインジャーが行ったように) ですが、「ほかの夢のあとに? …」は、私の「回想 – ヴォカリーズ」作品29に倣ったものです。こちらの作品ではラフマニノフの別の歌曲、作品34-14「ヴォカリーズ」を取り上げており、元々のアイデアは、曲の展開ととも原曲の断片が徐々に拡張されながら現れてくる即興風の作品、というものでした。