説明
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レスリー・ハワードによる楽曲解説
この十二音技法ソナタは、私が21歳になったばかりの頃、オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学の学部生だった時に完成させたものである。 このソナタは時代の量産物であることは間違いないが、このような作曲技法と、より伝統的なピアノ書法の融合を真剣に試みたものであった。この曲を書いている時点では、ピアノ・ソナタ第2番は存在しない!この2つの小さなアルバム・リーフは、私がイタリア滞在を経てオーストラリアからイギリスに永住した後の1973年にロンドンで作曲されたものである。この時期、私は「ドムラとピアノフォルテのためのロシアの主題による小品」を作曲し、その作品で用いた同じ旋律を、意図的に要求されない復調で、第1曲目のアルバム・リーフに使用した。第2曲目のアルバム・リーフは、当時、グレインジャーの音楽の「未知」の部分、そのスライドする対位と調性の両義性へのオマージュであった。
レスリー・ハワード
70歳の記念を迎えるにあたり、レスリー・ハワードはフォロワー達から求められていた仕事を準備していた。たくさんの国で演奏したリストのオペラから着想を得た作品のプログラムだ。2018年にはリストの未録音作品をさらにもう1枚リリースした。100枚の全集から更に追加録音を行い続け、クラシックのソロアーティストが1人で成し遂げた業績として並ぶもののないものとなった(この追加録音はハイペリオンから2011年に発売された全集ボックスセットに収まるようになっている)。このプロジェクトにより、ハワードはギネスブックに載り、6つのレコード大賞、サンステファン勲章、ハンガリー文化賞、そしてリストの手の銅像をハンガリーの大統領より受け取った。
レスリーハワードは、大量のレコーディングと世界中でのコンサートツアーを半世紀にわたり両立してきた。レパートリーは常に聴衆に新しい経験をもたらすもので、固定観念への挑戦を行ってきた。世界でも最高のオーケストラと共演を重ね、室内楽の音楽家としても活躍し、世界最高峰の音楽家やアンサンブルと共演してきた。 リストのソロピアノ曲録音に加えて、他の世界初録音として重要なものの中に、ルビンシュテインの4つのピアノソナタやチャイコフスキーの3のピアノソナタ、そしてスカンジナビア半島の作曲家のピアノソナタの録音がある。彼の初期のグレインジャーのソロとデュオ(デヴィッド・スタンホープと)の録音は5枚組CDセットとしてEloquenceから再発売されている。 ハイペリオンに録音したルビンシュテインのピアノ五重奏曲集や、ArtCorpに録音した自作曲集「25の黒と白の練習曲」、ラフマニノフの二つのソナタをMelba Recordingsよりリリースしている。Melbaからはマッティア・オメットと共に、レナルド・アーンのピアノ2台及び連弾曲集(CD2枚組)をリリースしている。 進行中のものとしては、ブリリアント・クラシックスよりオメットと共にリストの2台ピアノ曲全集があり、第1弾はリスト自身による2台ピアノ版交響詩全12曲が収録されている(3枚組3セット)。最新のソロ作は、ヘリテージレーベルからリリースされた、ベートーヴェンの「エロイカ」変奏曲と「プロメテウスの創造物」のベートーヴェン自身によるピアノ版だ。 またハワードは優れた学者として、一次資料をあたり、室内楽全集を含む13巻のリスト集をリスト協会(ハーディプレス刊)から出版した他、30巻におよぶリスト協会ジャーナルへの音楽記事集、7巻の新リスト原典版をペータースからリリースしている(これには高評価を得た「ソナタ ロ短調」や「ダンテを読んで」が含まれている)。
他の校訂者としての業績には、パガニーニのヴァイオリン協奏曲5番を復元しオーケストレーションしたほか(イタリアのパガニーニエディションに収録)、ベリーニの「アデルソンとサルヴィーニ」のフルスコアや、現在定番となっているラフマニノフのピアノ協奏曲4番の二台ピアノ版(ブージー&ホークス)がある。