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山田が完成させることがなかった「ソナタ・エクスタジエ」「アンプロンプチュ」「神戸の想い出」「セレナード」といった大作は気鋭の作曲家榎 政則が補筆完成。いずれも現在知られている山田のピアノ作品にはない大規模な作品であり、スクリャービンやショパンの影響を受けつつ山田独自のピアニズムに昇華された日本ピアノ音楽黎明期の精華と言える充実した内容。
収録内容
「山田耕筰ピアノ曲拾遺」に寄せて (髙久 暁)
アンプロンプチュ / Impromptu*
ソナタ・エクスタジエ / Sonata-extasier*
セレナード / Serenade*
わが神戸時代の思い出 / Erinnerungen an mine Kobe zeit*
《付録》源氏楽帖
(い)「桐壺」の巻より
(ろ)「若紫」の巻より
(は)「末摘花」の巻より
(に)「紅葉の賀」の巻より
(ほ)「花の宴」の巻より
(へ)「花散里」の巻より
(と)「須磨」の巻より
アンプロンプチュ(演奏:杉浦菜々子)
髙久 暁(たかく さとる)
音楽学・音楽評論。日本大学芸術学部教授(芸術学[音楽学]・美学)。主な研究分野として20世紀の亡命ロシア人音楽家の生涯と創作(ニコライ・メトネル、アレクサンドル・チェレプニンほか)、アジア諸国のピアノ文化史、日本人及び台湾人作曲家の創作史(篠原眞、郭芝苑、許常惠ほか)、近現代ギリシャを中心とするバルカン半島諸国の芸術音楽史など。共著・論文・翻訳等多数。校訂・編集楽譜として世界初出版の初期稿を含むニコライ・メトネル《忘れられた調べ 第1集》作品38(全音楽譜出版社)、マルク=アンドレ・アムラン《コン・インティミッシモ・センティメント》(音楽之友社/Edition Peters)、ワルター・ギーゼキング《シャコンヌ》(ミューズ・プレス)ほか。
杉浦 菜々子(すぎうら ななこ)
ピアニスト。武蔵野音楽大学大学院博士前期課程修了。 日本人作品の演奏をライフワークとし、出版における調査や資料収集、校正、校閲に当たっている。近年は委嘱や新作の初演にも積極的に取り組んでいる。2016年よりピティナ公開録音コンサートで「日本人作品の夕べ」シリーズとし、数多くの日本人作品を演奏、録音している。ピティナピアノ曲辞典には演奏動画多数と曲解説が登録されている。 2018年11月に1stアルバム「山田耕筰ピアノ作品集」をリリース(『レコード芸術』誌【特選盤】)。2021年11月2ndアルバム「休暇の日々~フランスバロックからセヴラック、タイユフェールまで」を、2022年3月3rdアルバム「J.S.バッハ&S.L.ヴァイス リュート作品の鍵盤用トランスクリプション集」(『レコード芸術』誌【準特選盤】)を、2022年6月「近藤浩平&山田耕筰ピアノ作品集『麦草峠のギター』」を、2022年9月「知られざる山田耕筰のピアノ音楽」(『レコード芸術』誌【準特選盤】)をリリース。
榎 政則(えのき まさのり)
即興演奏家・作曲家。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業のち、パリ国立高等音楽院音楽書法科修士課程および同ピアノ即興科修士課程修了。Jérôme-Seydoux Pathé財団・Cinémathèque françaiseの無声映画伴奏ピアニスト。中世の音楽から現代音楽まで幅広いスタイルの即興演奏で、ソロ演奏のほか、演劇・朗読・ダンス・映像・講演など様々な分野とのコラボレーション活動をしている。舞台演出家の小原花とグループ「空箱」を結成し、定期的に公演を行っている。また、数学者の細野元気と定期的にMath-concertを開催し、数学の講義と音楽のコラボレーションを行い、好評を博している。