説明
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編曲について
モーリス・ラヴェルはピアノ協奏曲を2曲残していますが、これらは最晩年に並行して作曲されたものです。この「ピアノ協奏曲 ト長調」はラヴェルの代表作のひとつで、作曲当時から今に至るまで様々なピアニストに弾かれてきました。ジャズの要素が入っていることで有名ですが、第2楽章も非常に繊細で美しいことで知られています。また、冒頭のピアノソロが約3分にも渡るのもピアノ協奏曲としては珍しい特徴です。私は、これまでにピアノ協奏曲をピアノ1台で演奏する「ピアノ協奏曲シリーズ」と題した演奏会を何回か行ってきました。他にも室内楽や声楽など、ピアノ+αの編成がある曲をピアノ1台で演奏してきましたが、ピアノ協奏曲をピアノ1台で演奏することは困難なことであり、特にアンサンブル要素が強いほどオーケストラのどの音を拾うのか、編曲者の力量が問われます。「アダージョ・アッサイ」の原曲はテクニック的に困難な箇所は少ないのですが、その音楽性を失わないようにオーケストラの音を可能な限り拾いましたので、コーラングレがテーマを奏でピアノが装飾音に徹している再現部では、その音符の量が2段譜に収まらず3段譜となっている箇所もあります。(今泉 響平)
今泉 響平
福岡県出身。音楽一家に生まれる。父はジャズピアニストの今泉正明。10歳よりスズキ・メソードでピアノを始める。15才で全過程を終了。福岡講倫館高校卒業後、単身渡露。チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院及び大学院課程を修了。国内外で数々の賞を受賞し、ラザール・ベルマン国際ピアノコンクール(イタリア)第1位、ピアノアジア賞。その他ピティナ・ピアノコンペティション特級セミファイナリスト。スロボジャンスカ・ファンタジー国際ピアノコンクール(ウクライナ)第3位。マリア・ユーディナ国際ピアノコンクール(ロシア)第2位。マスターへの道国際ピアノコンクール(ロシア)第2位、ヴィルトゥオーゾ賞。クラシックアカデミー国際コンクール(ロシア)グランプリ受賞。ロマンティシズム国際コンクール(ロシア)第1位、ヴィルトゥオーゾ賞。2021年第45回ピティナ・ピアノコンペティション特級にて第3位受賞。また、指導者として新人指導者賞を受賞。特級入賞と新人指導者賞の同時受賞は初の快挙となった。