説明
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私の《ピアノソナタ 第1番「孤独」 作品39》は、エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)の詩「孤独(Alone)」からインスピレーション受けています。アンナ・ゴレツカの委嘱を受けて2006年11月15日から2007年8月25日にかけて作曲し、彼女に捧げられたものです。
2021年に私はこのソナタを改訂し、それが最終版となりました。単一楽章の形式は、リストの《ピアノ・ソナタ ロ短調》に倣ったものです。 私は、奨学金を得てドイツのバイロイトを訪れた際、私の大好きな作曲家で、その軌跡を追い求めていたリヒャルト・ワーグナーの精神を受け継いだソナタ、彼のモチーフが埋め込まれた複雑な形式のソナタをイメージしました。これらのモチーフは、時に調和し合いながら、また、互いに反発し合いながら共存しています。また、これらは自叙伝的でもあり、このソナタを作曲した時の私の心境を反映しています。
ソナタは、第1主題(AHCFEDCH)のしずくで始まり、すぐに第2主題(FDBA)が続きます。序奏の後、これらのモチーフを変ホ短調で再現するAgitato ma non troppoが登場し、時に怒り、時に平穏で繊細な、鮮烈な心情の変化が始まります。
ポーの詩では、彼は世の中に適応できない存在であることに言及していますが、同時に孤独が彼の創造性の入り口であることをほのめかしています-山、太陽、そして人生と「私をじっと繋ぎ止める神秘」。このソナタは、時に力強い和音を用いて、若き日も中年になっても孤独でありたいという私の願望を表しているのかもしれません。
ホ長調の恋人の主題がその重みを主張し、アジタートが再び登場するように、この作品に喜びの感情がないわけではありません。 2008年、私はこのソナタの原盤をアクテ・プレアラブル(Acte Préalable / ポーランドのレーベル/AP0202)から録音を出しました。このソナタには3つのエンディングがあり、いずれもオリジナルCDと現行版の楽譜に収録されているものです。演奏者は自分の好きなエンディングを選び、ソナタを自分だけのものにすることができます。トマシュ・カミエニャク
ベルリン、2022年
トマシュ・カミェニャク
トマシュ・カミェニャクはピアニストであり作曲家である。フランツ・リストやシャルル=ヴァランタン・アルカンの曲はもとより、知名度の低い作曲家の曲も好んで演奏している。
カトヴィツェのポーランド国立カロル・シマノフスキ音楽アカデミーのピアノ科にて、ヨアンナ・ドマンスカに師事。卒業後は、ドイツのフランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学のロルフ=ディーター・アレンスに師事した他、コンスタンチン・シェルバコフ(マスタークラス)、ズビグニエフ・ラウボ教授(カトヴィツェの大学院)、ロンドンのレスリー・ハワードの下でさらに演奏技術に磨きをかけた。
第4回ワイマール国際フランツ・リストコンクールにて特別賞受賞。 出版社Acte Préalable主催の第4回録音プロジェクト「忘れられたポーランドの音楽」コンクールでグランプリを受賞し、ヨゼフ・ヴィニアフスキのピアノ作品を録音。カトヴィツェの政府機関であるマーシャル・オフィスとバイロイトのワーグナー協会から奨学金を授与されたほか、タルノフスキー・ゴーリー市長から文化的功績を称えて賞を授与されている。
主なソロ活動としては、レヴォカ(スロバキア)のインディアン・サマー音楽祭、ソフィア(ブルガリア)のピアノ・エクストラヴァガンザ・フェスティバルに加え、キエフ、ワイマール、ロンドン、バイロイト、キェルツェのシヴィエトクリスカ・フィルハーモニーでのリサイタルにおけるアルカン《独奏ピアノのための協奏曲》の演奏、カトヴィツェ音楽院、ビエルスコ・ビアウァとザコパネにおけるアルカンの《独奏ピアノのための交響曲》等がある。
バイロイトとヴェネチアでワーグナー協会主催のリサイタルを開催。 2008年、バイロイトのシュタイングレーバー・ハウスでの3部構成のリサイタルでは、1876年からのリストのピアノによるワーグナーの全曲トランスクリプションを演奏した。また、トマシュはロンドンでレスリー・ハワードとリストの2台ピアノ編曲による《ファウスト交響曲》を演奏した。2021年、アメリカ・リスト協会フェスティバルで録画映像による演奏を行った。
オーケストラとの共演では、アンジェイ・アフェルトヴィチ率いるポーランド・ユース・シンフォニー・オーケストラとの共演でリストのピアノ協奏曲第2番でデビューした。その他、ポーランド音楽祭「Swego nie Znacie」において、モニカ・ウォリンスカの指揮の下でコシャリン・フィルと、シヴィエトクリスキ音楽祭ではアレクサンダー・ウォーカー指揮で、シヴィエトクリスキ・フィルとヴィエニャフスキのピアノ協奏曲を演奏している。
ビトムでの現代音楽祭では、ミエチスワフ・ウンガー指揮、ノモス弦楽オーケストラにてヘンリク・グレツキの協奏曲とフィリップ・グラスのチロル協奏曲を、ヤヴォルツノではマチェイ・トマシエヴィチ指揮、アルケッティ弦楽オーケストラにてヴォイチェフ・キラールの第2ピアノ協奏曲とゴレツキの協奏曲を演奏している。
カミェニャクは作曲家でもあり、その膨大な作品は演奏家だけでなく、聴衆の間でも高い評価を得ている。彼は、ピアノ曲、チェンバロ曲、室内楽曲、声楽曲、映画音楽、そしてキラル、ゴレツキ、グラス、プレスナー、コルンゴルト、プロコフィエフ、リストなどの作品のピアノ編曲を手がけている。彼の作品は、アンナ・ゴレツカ、ガブリエラ・シュイントツィーロツ=ユンギェヴィ、アレクサンドラ・ガジェカ=アントシェヴィチなどのアーティストによって演奏されている。
ディスコグラフィーには、ヨゼフ・ヴィエニャフスキの作品を収録したアルバム(Acte Préalable)、自作ピアノ曲のアルバム2枚(Acte Préalable)、ヴァレンティン・シルヴェストロフの作品を収録したアルバム(Brilliant Classics)、リスト・ポロニクム集の第1巻(DUX)などがある。現在はベルリンに在住。(公式ウェブサイト)