説明
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チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」のピアノ独奏用編曲版。本CDは原曲の繰り返しを一か所割愛しただけで全曲を収録しており、2枚のCDをどちらも79分58秒に収めるように計算してから録音されている。録音に際して、テンポはゲルギエフを参考にしており決して早すぎはしないが、これをバックに踊るのは大変だろう。ナナサコフによる書き加えも数か所あり、スピード感のある演奏になっている。編曲者のアレクサンドル・ジロティは原曲の音を細大漏らさず捉えようとした意図が伺えるが、初演前にチャイコフスキーからの依頼で全編のピアノ版が作成されたことから、おそらくはバレエ練習での用途を意識したのではないか。編曲もジロティの個性を作品にぶつけるよりも、作品をより弾きやすく効果的に響かせようという、ピアニストとしての欲求や工夫の現れが見て取れる。
ミヒャエル・ナナサコフについて
楽譜通りの演奏が困難だったり、演奏される機会が少なく録音も稀である作品を取り上げる世界初のヴァーチャル・ピアニスト。1955年リトアニアのヴィトリニュス生まれ、という設定であるが、実際にはプロデューサーである七澤順一が、コンピュータと自動演奏ピアノを用いて行っている録音プロジェクトである。90年に発売されたゴドフスキーの「ショパンのエチュードによる練習曲」でデビュー。当時満足な録音が無かった中で、超人的な演奏を実現して見せたことで大きな注目を集めた。