説明
This article can be switched to the following languages: English
収録曲目
1. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005 より第2楽章 フーガ (2021)
2. 深き苦しみの淵より、われ汝に呼ばわる BWV 686 (2021)
3. ミサ曲ロ短調 BWV 232 より終曲 われらに平安を与え給え (2018)
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲・大脇滉平編曲
本曲集は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の3つの異なる楽器編成のフーガ的作品をピアノ独奏用に編曲した曲集である。1曲目は無伴奏ヴァイオリン、2曲目はオルガン、3曲目は合唱+オーケストラからの編曲である。共通のコンセプトを持つ三作品でありつつ、曲想はそれぞれ対照的であるため、各曲単体ではもちろんのこと、是非3曲まとめてでも演奏いただけることを願っている。
編曲の方法は、元の編成を考えれば当然ではあるが、1曲目は音を増やす編曲、2・3曲目は音は増やさずに演奏不可能な部分を再配置する編曲と、全く異なるものになった。同じ作曲家、同じ編曲者による3作品であるが、原曲の編成の違いから生じる各編曲の個性をたのしんでいただければ幸いである。
なお、3作品全て、私の尊敬するピアニストの蓜島啓介氏によって初演(1・2曲目は2021年9月5日、3曲目は2019年2月17日、いずれも千葉県八千代市のショパンサロンにて)されており、本曲集の運指も氏のご考案によるものである。氏の運指は、初見では難しく感じられる部分もあるかもしれないが、各声部をつなげて歌うために最適になるよう非常によく考えられているため、是非参考にされることを願う。
大脇滉平(おおわき こうへい)
1996年生まれ。東京藝術大学作曲科卒業、在学中に長谷川良夫賞(エクリチュール)受賞。同大学院音楽研究科修士課程作曲専攻修了。11声のカノンや10声の三重カノン、6声の転回可能対位法、6声の和声課題を書くなどエクリチュールの研究を盛んに行い、その技術を生かした編曲活動も行っている。また作曲では、その作風は多岐に渡り、〈Impromptu – for 7 equal temperament harp -〉、〈彩られた音空間Ⅰ – for 2 harps of 5 & 7 equal temperaments -〉、〈彩られた音空間Ⅱ – for 6 harps of 84 equal temperament -〉などの微分音を用いた作品、〈Sound Image – for solo viola and piano quintet -〉、〈Fanfare「成長の樹」〉、〈Citrine – for piano 4 hands -〉などの調性音楽の作品、〈xIng – for 6 players -〉、〈広告燈!―バス・バリトンとサクソフォンのための―〉、〈打劇 – for 3? Players -〉などのシアターピース的作品などを作曲している。現在、作編曲家および音楽理論講師として活動している。
蓜島啓介(はいしま けいすけ)
1981年、埼玉県生まれ。6歳よりピアノを始め、植原晴子、高木誠、兼重稔宏ほかの各氏に師事。東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。在学中は開成管弦楽団指揮者、東京大学フィルハーモニー管弦楽団指揮者をつとめる。現在弁護士として執務する傍ら、バロックから近代を主要なレパートリーとして、ソロ、デュオ、室内楽、歌曲伴奏等の演奏活動を行う。デュオ奏者としては江里俊樹氏と”Eric&Kay”として活動し、室内楽奏者としては、麦わら帽子五重奏団及びグラン・パレ三重奏団のメンバーとして活動する。これまでに、シューマンのダヴィッド同盟舞曲集及びリストのピアノソナタを収録した1stCD「シューマン&リスト」、バッハの編曲作品を集めた2nd CD「Transcribed Bach」の2枚をリリース。根本卓也氏や大脇滉平氏らの新作や編曲作品の初演も多数行っており、2021年より2022年にかけて、大脇滉平編によるイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタのピアノ独奏版の初演を行う。