説明
編曲について
密かな願い、煌めく憧れ、思いがけないほどの喜び、止めどない情熱、穏やかな充足……。愛は(その肯定的な側面だけを見ても)実にさまざまな感情を呼び起こしてくれるものです。この歌は、耳に残る旋律が繰り返されるだけの単純な構成の内に、そうした大きなうねりまで表現してみせます。ピアノソロという利点を活かし、よりドラマチックな緩急を加えて、ロマン派のスタイルで仕上げました。
原曲の歌詞は明らかに愛をテーマにしていますが、 “Love”という単語そのものは一度も登場しません。壮大でありつつ控えめでもあり、強靭でありながら繊細でもある、考え抜かれた内容です。この歌詞の有り様にも表れている、永遠の未到ともいえるもどかしさは、愛の本質のひとつに違いありません。甘美に味わいつつ演奏していただければと願っています。(森下唯)