説明
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ジュリアン・エルヴェによる序文
パリ音楽院で学んでいた頃、私はリヒャルト・シュトラウスの音楽にすっかり魅了され、彼の作品を1つ残らず全て聴くことにしました。作品18に至ったとき、この曲の録音を探すのに随分と苦労しました(現在のストリーミング・プラットフォームが普及するずっと前のことです!)。やっとの思いで、ジネット・ヌヴー(Ginette Neveu)が兄と一緒にこのソナタを演奏している録音を入手できたとき、私は大きな衝撃を受けました。この曲があまり演奏されない理由をヴァイオリニストの友人たちに尋ねてみると、「ピアノパートがとても難しいから」、「ヴァイオリンには他にも膨大なレパートリーがあるから」という答えが返ってきました。私は是が非でもヴァイオリニストになって(!)、この傑作を演奏したいと強く思いました。試しにクラリネットで演奏してみたところ、非常に上手く行くことが分かりました。そこで、私の最初のアルバムに収録したいと考えたのですが、残念ながら2011年の時点では著作権の問題で実現しませんでした。シュトラウスの作品がパブリックドメインになった今、この曲を発表できることを嬉しく思います。私と同じように、皆さんにもこの曲を楽しんでいただきたいと思います!最後の楽章はかなり “Till Eulenspiegelisch”(ティル・オイレンシュピーゲルを彷彿とさせる)なので、我慢できずにEb管のクラリネットのパートを加えてしまいました。Eb管で吹くか、Bb管で吹くかは皆さんにお任せします。
編曲者による演奏
ジュリアン・エルヴェ
本来、物理学を専攻する予定にしていたジュリアン・エルヴェは、21歳のときに音楽に専念することを決意し、パリ国立高等音楽院(CNSM)のパスカル・モラゲスのクラスで学んだ。活動の幅や音楽のスタイルに捕らわれない奏者であり、パッチワークのような音楽生活を送っている。2008年からは首席クラリネット奏者を務めるロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団を中心に、世界最高のコンサートホールで偉大な指揮者たちの下で演奏している。
ソリストとしては、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、シンフォニア・ロッテルダム、プラハ・フィルハーモニー管弦楽団、ウッチ・フィルハーモニー管弦楽団、ルイジアナ室内管弦楽団、Les Dissonnances、レ・シエクル管弦楽団、La Symphonie des Lumières、カンヌ管弦楽団、フランス室内管弦楽団、Banda Sinfónica Municipal de Madrid、ピカルディ管弦楽団などと共演している。室内楽奏者としても人気が高く、有名な音楽祭に出演している。Het CollectiefとCalliopée Ensembleのメンバーであり、Rotterdam Chamber Music SocietyとFestival International de Musique de Chambre de Thèzeの芸術監督を務めている。
D’Addarioと共同で商品開発を行っているほか、Buffet Cramponの専属アーティストでもある。現在は、ロッテルダム音楽院(Codarts hogeschool voor de kunsten)で教鞭をとっている。2018年には、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の100周年記念式典にて、ソリストとしてジョイス・ディ・ドナート、ヤニック・ネゼ=セガンと共演し、medici.tvによってライブ配信された。これまでにリリースされた4枚のアルバムは国際的にも高く評価されている。