平野義久によるピアノ曲「10のプレリュード」&「薔薇の奇蹟」初出版

劇伴作曲家として活躍する作曲家・平野義久によるピアノ曲が待望の初出版です。「10のプレリュード」は、それぞれ花の名前がタイトルとして記され、繊細でメランコリックな作風から力強い情熱的な作品が並んでいます。「薔薇の奇蹟」は、フランスの小説家であるジャン・ジュネの世界観にインスパイアされ、若かりし頃の平野義久が感じたジュネが醸し出すダンディズム、ロマンティシズムが色濃く描かれています。

作品名:10のプレリュード&薔薇の奇蹟(ピアノのために)
作曲:平野義久
価格:3500円(税抜)
ページ数:52
解説:平野義久(日本語・英語)

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楽譜の発送は、3月7日(月)から順次行います。

― Contents (目次) ―
「10 Préludes (10のプレリュード)」
I. Mangnolia
II.  Forget-Me-Not
III. Dahlia
IV. Tuberose
V. Gymnaster
VI. Tatarian Aster
VII. Christmas Rose
VIII. Snowdrop
IX. LyCoris
X. Blue Rose

「Le miracle de la rose (薔薇の奇蹟)」

平野義久による楽曲解説
 本作品のCDが出た時、私はブックレットに「10 Préludes(10のプレリュード)」はポップス作品だと書いた。些かイキッた表現で、今読み返すと正直恥ずかしくもなるのだが、実際それは本心に違いなかった。
 だがその時、私はこの「ポップス」という言葉を、あるひとつのイデーに集約させて、独断的な解釈を施していた。それに則った作品ということで、本作をして「ポップス」などとうそぶいた訳なのだが、さてここで、ひとつきちんと警告せねばならない。もし本作を額面通り「ポップス」だと思ってピアノに置いたならば、あなたは大いなる困惑に苛まれることになる。つまり、本作品は本来のポップス的な音楽的形式やスタイルからは著しく乖離している。本作をポップスたらしめる要素はただひとつ、上記のイデー、すなわち「表現者と聴者のシンパシーの共有」のみである。


平野義久

1971年12月7日和歌山県新宮市生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。バロック音楽に魅了され、小学生の頃から独学で作曲を始める。高校時代にジャズと邂逅、また、ジョン・ゾーンへの心酔を契機に現代音楽に心惹かれるようになる。一方で、ショスタコーヴィチの交響曲に強い感銘を受け、本格的な作曲の修行を決意する。
高校卒業後紆余曲折を経て渡米、イーストマン音楽院で作曲をクリストファー・ラウス、ジョセフ・シュワントナー両氏に師事する。バタイユ、クロソウスキー、マンディアルグ、ジュネら20世紀フランスの作家・思想家に傾倒し、授業もそっちのけで多くの時間を読書、そして作曲に費やす。
紆余曲折を経て同院中退、その後帰国。さらなる紆余曲折を経て2001年に劇伴作曲家としてデビュー。以来今日に至るまで数多くのサウンドトラックを世に送り出している。
文学・哲学から落語・モードファッション、さらには動物・昆虫・素粒子までこよなく愛する好奇心旺盛な作曲家。ただし幼少時のトラウマ体験により芋虫恐怖症。