黛敏郎「君が代」と絶筆の「パッサカリア」

黛 敏郎

日本を代表する作曲家として現在も高い人気を誇る作曲家・黛敏郎。今回、ミューズプレスでは、日本の作曲家専門レーベル スリーシェルズの代表を務める音楽評論家の西耕一氏と黛家の協力のもと黛敏郎の編曲作品と絶筆となった未完のオーケストラ作品2点のフルスコアを出版します。

本日より2021年2月28日まで予約受付とします。発送は2021年3月1日より順次行います。なお、予約受付期間内にご予約をいただいたお客様には日本国内に限り送料無料でお送りさせていただきます。

黛敏郎 編曲「君が代」
黛敏郎の管弦楽編曲による《君が代》。これは伝統と現代の間で悩み、独自の音を探求してきた作曲家による一つの返答である。日本の伝統音楽を基にした《BUGAKU》や《昭和天平楽》とも共通する音響美がある。自国の文化、伝統が、未来に受け継がれ、続いてほしいと願うことに何の不条理があろうか。(西耕一)

黛敏郎 編曲:日本国歌「君が代」(オーケストラ編曲)
2000円(税込)
菊倍版|12頁
解説:西耕一
企画協力:スリーシェルズ、黛家


黛敏郎 作曲「パッサカリア」(未完・絶筆)
当時、指揮者・岩城宏之が率いるオーケストラ・アンサンブル金沢の委嘱により「パッサカリア」の作曲を始めた黛敏郎。コントラバスやハープによる空虚な5度和音を土台として不穏なピッコロソロに始まり、次第に様々な楽器も加わり、ベートーヴェンやモーツァルト、バッハなどの作品の断片が随所で駆け回ります。そこには混沌とした世界が広がります。この作品は、無念にも黛の死により完成されることはありませんでした。

《パッサカリア》は、黛敏郎の遺作であり未完。盟友・岩城宏之の率いるオーケストラ・アンサンブル金沢のための作曲であり、プリペアド・ピアノ協奏曲を構想していた。既に何度か死線を彷徨い、入院中に、テレビ番組や講演、会議等と並行しての作曲だった。しかし、その筆に迷いはない。(西耕一)

黛敏郎:パッサカリア(未完・絶筆)
2000円(税込)
菊倍版|12頁
解説:西耕一
企画協力:スリーシェルズ、黛家


これまでに弊社で刊行した黛敏郎の作品

黛 敏郎(まゆずみ としろう)
1929年(昭和4年)2月20日、横浜生まれ。東京音楽学校(東京藝術大学)で橋本國彦、池内友次郎、伊福部昭等に師事。1948年(昭和23年)に作曲した「拾個の独奏楽器の為のディヴェルティメント」により才能を認められる。1950年(昭和25年)作曲の「スフェノグラム」は、翌年のISCM国際現代音楽祭に入選して海外でも知られるようになる。1951年(昭和26年)パリ・コンセルヴァトワールへ留学、トニー・オーバン等に学ぶ。フランスから帰国後、ミュージック・コンクレートや日本初の電子音楽を手がけた。1953年(昭和28年)芥川也寸志、團伊玖磨と「3人の会」を結成。また、吉田秀和等と「二十世紀音楽研究所」を設立。雅楽・声明をはじめ、日本の伝統音楽にも造詣を深める一方、交響曲、バレエ、オペラ、映画音楽等の大作を発表した。1964年(昭和39年)より、テレビ番組「題名のない音楽会」の企画、出演。東京藝術大学講師、茶道「裏千家淡交会」顧問、評議員。「日本作曲家協議会」会長、「日本著作権協会」会長などを歴任した。 「涅槃交響曲」(1958)で第7回尾高賞、「BUGAKU」で第15回尾高賞を受賞。 主な作品に「ルンバ・ラプソディ」(1948)、「饗宴」(1954)、「曼荼羅交響曲」(1960)、「シロフォン小協奏曲」(1965)、オペラ「金閣寺」(1976)、「KOJIKI」(1993)、バレエ「The KABUKI」(1986)「M」(1993)他がある。ピアノ曲は、「前奏曲」「金の枝の踊り」「天地創造」などがある。ISCM入選(昭和31、32、38年)。毎日映画コンクール音楽賞(昭和25、32、38、40年)。毎日演劇賞(昭和33年)。ブルーリボン賞(昭和40年)。仏教伝道文化賞(昭和50年)。紫綬褒章(昭和61年)。 1997年(平成9年)4月10日逝去。

ピアニート公爵編曲「蒼い鳥」(from THE IDOLM@STER)

日本の動画サイト「ニコニコ動画」に匿名で投稿した演奏動画をきっかけにデビューを果たしたピアニスト「ピアニート公爵」。視聴者の度肝を抜く卓越した演奏技術と不明な経歴との隔たりから、視聴者から「高等遊民」と呼ばれ、投稿動画に「俺(ニート)」と書いたことから、「ピアニート公爵」という愛称で呼ばれるようになりました。後に、「ピアニート公爵」はピアニストの森下唯の生き別れの兄弟だったという事実(?)も明るみになります(真相はコチラをご覧ください)。動画投稿をきっかけにCDデビュー、現在では数々のコンサートやスタジオ録音に呼ばれる人気ピアニストとなります。

そんなピアニート公爵がニコニコ動画に初めて投稿した演奏が「蒼い鳥」(THE IDOLM@STER)のピアノ編曲です。本作は、人気ゲーム/アニメのアイドルマスターに登場する楽曲で、作曲:椎名豪氏(アニメ「鬼滅の刃」音楽 etc.)、M@STER VERSION編曲:塩入俊哉氏(稲垣潤一ツアー/音楽監督 etc.)という超豪華メンバーによるもの。ピアニート公爵は、よりクラシカルな雰囲気を持ったM@STER VERSIONを、ピアノ1台で表現するという試みをしています。

2021年1月現在、再生回数は1,128,819回に上り、クラシック音楽のファンに留まらず様々な音楽ファンの間で伝説として語り継がれる名編曲を、2020年2月1日、弊社より刊行いたします。


初回限定特典といたしまして、こちらの楽譜をご予約をいただいたお客様には、ピアニート公爵のサイン付きの楽譜をお送りいたします。限定30部です。お見逃しなく。本楽譜の表紙は、新進の漫画家・うたたね游(Twitter:@remon__pie )さんによるイラストです。

サイン付き楽譜(限定50部!)*当初は30部でしたが今回限り20部追加いたしました。
 https://muse-press.com/item/mp00404le/ ‎

サイン無し楽譜(2月1日より順次発送予定です)
 https://muse-press.com/item/mp00404/ ‎

序文:ピアニート公爵
価格:2000円(税抜)
ISBN:978-4-909668-69-1


ピアニート公爵(森下唯)
日本のピアニスト・作編曲家。ソロでのリサイタルのほか、オーケストラとの共演、リート伴奏、室内楽などの分野で活動し、スタジオ・ミュージシャンとしても多くのレコーディングに参加。演奏以外にも、映像作品への楽曲提供や文筆など幅広く手がけている。

「ピアニート公爵」としては、2007年のニコニコ動画への投稿で一躍注目の的となった(「ピアニート公爵」は動画投稿時にニートを自称していたことから視聴者に名付けられたもの)。2011年、ドワンゴ・ミュージック・エンタテインメントよりアルバム『シンギュラリティ~特異点~』をリリース。その後、日本、台湾、シンガポール等で演奏活動を行っている。近年では『GRANBLUE FANTASY PIANO COLLECTIONS』、『Piano Collections FINAL FANTASY XV』等で演奏を担当。2018年、『コードギアス 反逆のルルーシュ ピアノソロコレクション』では演奏とともに編曲も手がけ、楽譜集も出版された。

本名の森下唯名義では作曲家アルカンの紹介に力を入れており、アルカン生誕200年となる2013年から継続的にオール・アルカン・リサイタルを行う。2015年よりアルカン作品を集めたCD「アルカン ピアノ・コレクション」(ALM RECORDS)シリーズをリリース、『レコード芸術』誌をはじめ各所で高く評価されている。東京藝術大学卒業、同大学大学院修了。2004年、第2回東京音楽コンクール第2位。調布国際音楽祭アソシエイト・プロデューサー。2015年より東京藝術大学非常勤講師(指揮科演奏研究員)。

2020年12月の新刊情報(内藤晃による編曲作品)

12月の新刊情報です。発送は、12月16日頃より順次行います。

ピアニスト、指揮者、作編曲家として活躍する内藤晃によるピアノのための編曲作品が初出版となります。1点目はヨハン・セバスティアン・バッハが作曲した「G線上のアリア」のピアノ独奏版。内藤晃は、本作品の決定的なピアノ独奏版がないと考え、原曲の響きを忠実に編曲しました。指揮者としても活動する彼だからこそできた、オーケストラ作品をピアノに編曲する際の細かな配慮が散りばめられています。

J. S. バッハ/内藤晃:G線上のアリア(ピアノ独奏のための編曲)
税込1250円|菊倍|8頁
序文:内藤晃


2点目は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した大ミサ ハ短調 K.427 (417a)より「主は聖霊によりて宿り」のピアノ独奏版。このミサ曲は、結局は完成されませんでしたが、バッハと彷彿とさせるポリフォニックなテクスチュアをもつ意欲的な音楽で、当時のモーツァルトのバロックへの傾倒ぶりが滲み出ています。内藤晃は、2020年9月、友人の結婚披露宴で演奏するために本作品をピアノ独奏用に編曲しました。

モーツァルト/内藤晃:「主は聖霊によりて宿り」 大ミサ曲K.427(ピアノ独奏のための編曲)
税込1500円|菊倍|12頁
序文:内藤晃


内藤 晃

 ピアニスト、指揮者。東京外国語大学ドイツ語専攻卒。桐朋学園大学、ヤルヴィ・アカデミー(エストニア)などで指揮の研鑽を積む。ピアノ・指揮・文筆の多分野で活躍。訳書にA.ゲレリヒ著「師としてのリスト」(近刊、音楽之友社)、校訂楽譜に「ジョン・アイアランド ピアノ曲集」(カワイ出版)「ヤナーチェク ピアノ作品集」(ヤマハミュージックメディア)などがあるほか、音楽雑誌やCDライナーノートへの執筆も多い。その知的で美しい音楽づくりには、マリンバ吉川雅夫氏や作曲家春畑セロリ氏など、一流ソリストや作曲家から厚い信頼が寄せられ、彼らのCDでもピアノを担当している。自身のCDに「Primavera」(レコード芸術特選盤)「言葉のない歌曲」(同準特選盤)などがあるほか、2020年よりsonoritéレーベルを主宰し、レコーディング・ディレクターとしてCDのプロデュースも行っている。主宰ユニット「おんがくしつトリオ」では、教育楽器によるエキサイティングなアレンジが人気を博し、全国各地に招かれている。(公式ウェブサイト

【楽譜予約受付開始】ショパンの練習曲による「幻のエチュード」(レオポルド・ゴドフスキー)

本日はレオポルド・ゴドフスキーの命日です。

ピアノの仏陀(The Buddha of the Piano)とまで称されたゴドフスキーはピアニストとしても世界中で大活躍、作曲家としては主にピアノの作品を残しています。その中でも特筆される「ショパンの練習曲によるエチュード」ですが、この曲集について彼は「未来のピアニストに向けて書いている」と語ったという逸話も残っています。演奏するには相当なテクニックを要します。挑戦する者も多く現れましたが作品がもつ本来の持ち味を発揮できず、また「ショパンのエチュードをより難しく編曲しただけ」という誤解がなされ、故に長い間正当な評価を得ることができませんでした。

近年では、カルロ・グランテ、フランチェスコ・リベッタ、マルク=アンドレ・アムラン、ヴァディム・ホロデンコといった名ピアニストが取り上げ、録音も行っており、この曲集を評価する声が一層強くなっています。

西村英士によると、ある時、ゴドフスキーがウィーンの自宅を離れ、夏季休暇でベルギーに滞在している際に第一次世界大戦が勃発してしまいました。ゴドフスキーは自宅に戻ることができなくなり、やむなくイギリス経由でアメリカへ避難。持っていたのは旅行用の荷物だけで、4台のピアノ、膨大な楽譜コレクション、執筆中作品の自筆譜などはすべて自宅に置き去りとなりました。そして、ゴドフスキーの秘書を務めたJohn George Hindererは

第1次世界大戦勃発時、ウィーンのゴドフスキー家に10曲の「ショパンのエチュードによる練習曲」の楽譜が残されていた。

と記しています。大変嘆かわしいことに、現在もそれらの自筆譜の所在地はわかっていません。ゴドフスキーファンにとって肩を落とすような出来事ではありますが、そんな中、今回お届けする新刊は「ショパンのエチュードによる練習曲」から紛失していたと考えられていた幻の2作品です!

行方不明と考えられていたNo.30Aの自筆譜(未完成)

2作品とも未完成ではありますが、ゴドフスキーがどのように作品を展開していくつもりだったのか、その後の流れは十分に妄想を膨らませることも可能です。No.30AはショパンのOp.25-3を行進曲風に編曲(僅か12小節のみ…)、No.50はOp.10-2とOp.25-4とOp.10-11(有名な「木枯らし」)をなんと同時に鳴らすという驚異的なことをやってのけています。ちなみにNo.50Aは「木枯らし」で例えると再現部まで完成しています。補筆完成も夢ではないかもしれません。また、西村英士による充実した解説も必読です。

今回、これらの自筆譜の複写を快く提供してくださったピアニストのマルク=アンドレ・アムランも「今回のこれらの作品の出版はピアノ愛好家にとって大変喜ばしい出来事になるでしょう」と語っています。

行方不明と考えられていたNo.50の自筆譜(未完成)

2020年11月21日から予約受付を開始します。なお、予約限定付録としてNo.44A(未完成)の楽譜が付属します!

ご予約はこちらのページから可能です。

レオポルド・ゴドフスキー:ショパンのエチュードによる練習曲(未完成)
No. 30A & No. 50
解説:西村英士
価格:2000円(税込)
ISMN:979-0-707804-05-6


西村英士
 東京大学、京都大学大学院卒業(医学博士)。東大ピアノの会OB。ピアノを田中智子、高須久子の両氏に師事。安田正昭氏、高須博氏の指導も受ける。国際アマチュアピアノコンクール2016 A部門第1位、同コンクール2015 B部門第1位、第18回大阪国際音楽コンクール ピアノ・アウトスタンディング・アマチュア部門第1位、第36回PTNAピアノコンペティション グランミューズ部門B2カテゴリー第1位、第1回東京ピアノコンクール アマチュア部門第1位。1994年、メシアン「みどり児イエスに注ぐ20のまなざし」全曲演奏。日本初演作品はメシアン「前奏曲(遺作)」「シャロットの妖姫」「視奏講義用小品」、ソラブジ「3つのパステーシュ」(KSS 31-1, 3)、ハーバーマン「ソラブジ様式で『月の光に』」、アムラン「全ての短調による12の練習曲第3番『パガニーニ=リストによる』」、グリエール/ルーウェンサール「バレエ『赤いけしの花』より『ロシア水夫の踊り』」、レイトン「5つの練習曲」(Op. 22-1, 3, 5)など多岐にわたる。ゴドフスキー「ショパンのエチュードによる練習曲集」の楽譜で解説をアムランと共同執筆(ヤマハミュージックメディアより出版)。ゴドフスキー「ジャワ組曲」、E. シュルホフ作品集の楽譜でも校訂、解説執筆を手がけたほか、ゴドフスキーに関する雑誌記事やCD解説を多数執筆している。2017年、初CD「コンポーザー=ピアニストを称えて」をリリースした。
http://www.nanasakov.com/1019.html

ショータの楽譜探訪記(1)

こんにちは、突然ではありますが、本日から「ショータの楽譜探訪記」というお題でこれまでに蒐集してきた楽譜コレクションについて月1回の目安で連載を行っていきます。

軽く自己紹介を。私、小学5年生を迎えた頃、ベートーヴェンの「月光」を自宅の自動演奏ピアノで聴いて衝撃を受け、ピアノの学習を本格的に始めたわけですが、その頃から楽譜には異常な関心を抱いていました。この関心がどこから湧いてきたのか…今考えても理由はよく分かりません。まず買い集めたのは春秋社刊行の世界音楽全集(井口基成・校訂)でした。楽譜蒐集の第一歩が世界音楽全集だったのは、当時習っていたピアノの先生宅のレッスン室壁一面に世界音楽全集が並んでいたからでしょう。両親と近所の楽器店に寄る度に楽譜をせがんでいたのが懐かしいです。そこから主にネット上でアマゾン、国内輸入楽譜屋、海外楽譜屋やオークション、ヨーロッパ留学中は海外の図書館まで行動範囲を広げ今に至るわけです。

第1弾は今月手元に届いた楽譜について話をしてみようと思います。

先々月の真夜中、ネットサーフィンをしていたところ、イギリスのオークションサイトで驚愕のロットを見つけました。それは、去年亡くなったアメリカの大ソプラノ歌手であるジェシー・ノーマンの遺品、楽譜80冊でした。(詳細はコチラから)

生前、ジェシー・ノーマンの音楽コレクション 約29000点(!)はアメリカ議会図書館に寄贈されたというニュース記事を見かけたことがあり、もう市場に出回ることはないと思い込んでいました。

今回、オークションに出品された楽譜の数多くはノーマン本人による書き込みがあり、彼女の演奏解釈を読み解く上で一級の資料となり得ます。中には、フランシス・プーランクのオペラ「人間の声」の楽譜も入っていました。この作品は、2004年、ノーマンによる日本公演で話題となっています。幸運なことに、当時の公演模様はコチラで見ることができます。

恐らく、この機会を逃したら一生出会うことはないでしょう。楽譜との出会いは常に一期一会です。悩みに悩んでオークションに参加することにしました。結果、無事に落札することができたわけですが、諸手続きにそれなりの日数を要し、1か月半ほど経って遂に手元に届きました。

厳重な梱包を解くと、そこにはA3ほどの大きさの紙製の箱が8個が入っていました。今回受け取った楽譜1冊1冊を丁寧に確認をしていくと約2/3の楽譜に、ノーマンによる速書きのサイン “JN”がありました。そして、約1/4にノーマンによる演奏に関する膨大な書き込みがありました。ちなみに、前知識が無ければ、サイン”JN”がノーマンによるものだと認識するのは困難なのではないでしょうか。なお、アルノルト・シェーンベルクのオペラ「期待」についてはフルスコア、ピアノスコア、ポケットスコアなど合わせて10冊ほどありました。彼女が得意としていたレパートリーなだけあります。

他には、ピアニストのロバート・ウィルソンと共演した際に使用したフランツ・シューベルトの歌曲集「冬の旅」の楽譜がありました。例えば、その歌曲集の「回想」では”turn head to begin song(歌い始めるために振り返って)”など、それぞれの歌曲の冒頭に舞台上の動きに関する注釈が見受けられます。また、ロベルト・シューマンの「女の愛と生涯」では、ドイツ語歌詞、一単語ずつを丁寧に翻訳(逐語訳)した跡もしっかりと残っています。他にはEMIから録音が出ているリヒャルト・ワーグナーの「ヴェーゼントンク歌曲集」(ピアノ伴奏版)の書き込み入り楽譜もありました。その楽譜にはブレスの個所、テンポ感、フレーズ、協調するべき子音などが鉛筆で書かれています。音楽に対して一切の妥協を許さなかった様子がこれらの楽譜から伝わってきます。

今回購入した楽譜は状態が悪いものも多いために近いうちにスキャンしてデータ化を急ごうと思います。これからの連載の中でそれらの楽譜を定期的に紹介をしていくつもりです。最後までお読みくださりありがとうございます。

最後に…
私はミューズ・プレスの創業当時から代表社員として働いていましたが、私事で2019年8月末に一線を退いていました。ですが、先月から休日のみの稼働のもと代表社員としてミューズ・プレスの出版業務に携わっていくことになりました。上質な楽譜が皆様にお届けできるように努力して参ります。

平尾貴四男【出版・第1弾】

フランスで音楽を学び、日本帰国後は作曲家として大活躍をしていた平尾貴四男。46歳でこの世を去ってしまいましたが、管弦楽曲の代表作「砧」(きぬた)をはじめとして数々の名曲を残しています。今回、ミューズ・プレスは、存在が知られていたものの長年に渡って行方不明だった「ピアノのためのソナタ」の改訂版、平尾貴四男の著書「みんなでやろう-私たちの作曲」にひっそりと収録されていた「ピアノのためのソナチネ」を出版します。「ピアノのためのソナタ」は、2008年に自筆譜が再発見され近年になってピアニストの斎藤龍氏によって半世紀ぶりに蘇演。「ピアノのためのソナチネ」は平尾妙子氏の遺品の中に自筆譜が眠っていました。平尾貴四男のピアノ作品は、「ピアノのためのソナタ」しか残っていないと考えられていたために、「ピアノのためのソナチネ」の再発見は大変驚くべきニュースとなりました。しかし、この2つのピアノ作品の他に「夜曲」と呼ばれるピアノ作品の存在が囁かれています。ミューズ・プレスでは現在この作品について調査中です。

・ピアノのためのソナチネ (1951)
https://muse-press.com/item/mp02301/?lang=ja

・ピアノのためのソナタ – 改訂版 (1951)
https://muse-press.com/item/mp02302/?lang=ja

・荒城の月による変奏曲
https://muse-press.com/item/mp02303/?lang=ja

ローガン・スケルトン 《ジョニーが凱旋するとき》の主題による25の変奏曲

ローガン・スケルトン

明日よりローガン・スケルトン作曲『「ジョニーが凱旋する時」の主題による25の変奏曲』の楽譜の販売を開始します。作曲家、教育家、ピアニストとして多方面で世界的に活躍するローガン・スケルトン。世界各地でピアノのマスタークラスを行い、ナクソスレーベルがリリースしたCDではウィリアム・ボルコムと二台ピアノで共演をしています。

本作品は、南北戦争時に流行し日本でもよく知られている《ジョニーが凱旋するとき》の主題をベースとした、様々な音楽様式が登場する25の変奏曲です。近年ではピアニストの福間洸太朗が演奏会で取り上げ話題となっていました。

福間洸太朗さんによる演奏


本作品の楽譜表紙
価格:税込2500円
序文:ローガン・スケルトン
カタログ番号:MP-00201
ISBN番号:ISBN978-4-909668-21-9
こちらからご購入頂けます(明日の4月24日より発送開始)

作曲者のローガン・スケルトンは本作品について以下のようの語っています。

 「ジョニーが凱旋するとき」の主題による25の変奏曲は、1988年に書かれ、1989年にニューオーリンズにてジョン・マーフィーにより初演されました。この作品は、当初は私の心強いサポーターで、後に大親友となったマーサ・アン・サミュエルに捧げられています。彼女の南北戦争に対する興味は、この戦争に何らかの形で関わった祖先を持つ第9世代ミシシッピ人である私の出自と相まって、私の関心を刺激しました。

 この作品の作曲する上で、聴衆が飽きずに継続的に聴くことができるような魅力と親しみやすさを兼ね備えつつ、同時に音楽の楽しみ方を熟知した経験豊かで冒険的な聴衆にも興味を持ってもらうために高潔で洗練されたものを提供したいと願っていたことをはっきり覚えています。一つ付け加えるとすれば、その頃、私がミシシッピに住む叔父を尋ねた際、彼が南北戦争時代に流行した「ジョニーが凱旋するとき」の旋律をハミングしているのを聞きました。どういう訳か、その旋律が私の頭から離れませんでした。数ヵ月後、歩いてるとき、シャワーを浴びているとき、食事をしているとき、寝ようとしているときまで、その旋律をハミングしている自分にふと気づいたのです。この旋律は、変奏曲に特に適していたので、私の叔父が歌っていた通りに旋律を書き留め、ピアノ曲として作曲にとりかかりました。そのような聞き慣れた旋律を使用するということで、不協和音程を用いた書法を含めたりしながら、時折、主題から著しくかけ離れることも可能であるように私には思えました。この作品の構成において私が熟考したことは、どのようにして幅広い変化に富んだ様式の整合性を図るかでした。主題からどのくらいかけ離れることができるでしょう? 主題を認識してもらうために主題のどの要素を持続させる必要があるのでしょう? 様式を変更せざるを得ない場合、それはどのように、そしてコントラストはどのようになるでしょう? これらから生じた音楽は明らかに多様なものです。

プログラム・ノートより(ローガン・スケルトン)

ローガン・スケルトンについて
ピアニスト、教師、作曲家として活躍し、彼の作曲作品は世界的に評価を受けている。ピアニストとして、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにて演奏会を行い、中国のラジオ放送、ルーマニア国営放送など、数多くのテレビ・ラジオ放送に出演している。現在までに多くのCDをCentaurやAlbany、Crystal、Blue Griffin、Equilibrium、Supertrainからリリース、そしてNaxos RecordsのCDでは彼の友人であるコンポーザー・ピアニストのウィリアム・ボルコムと共に2台ピアノを演奏した。数々の国際ピアノコンクールに審査員として招聘され、世界各地で開催される音楽祭にも出演している。作曲家としては、特に歌曲に愛着を持っており、いくつもの歌曲集を含む200近くの歌曲を作曲してきた。また、教師としても熱心に活動し、その高度な教育を讃えられ、ミシガン大学からハロルド・ハフ賞等を、最近では大学で最も名誉あるArthur F. Thurnau professorshipを授与された。スケルトンのピアノの生徒たちは、いくつもの世界的コンクールで賞を授与されている。現在、マンハッタン音楽大学、ミズーリ州立大学およびミシガン大学にて教鞭を執っている。

福間洸太朗「France Romance」(Naxos Japan)

2019年4月17日、世界で活躍しているピアニストの福間洸太朗の最新作「France Romance」をナクソス・ジャパンよりリリースされます。タイトルからも分かるよう、本アルバムはフランスにゆかりのある作品を収録。弊社刊行のサティ/ 福間洸太朗編の「ジュ・トゥ・ヴ」(あなたが欲しい)、そしてアレクシス・ワイセンベルクの「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」も本アルバムに収められています。ちなみに、福間洸太朗は日本人として初めてワイセンベルクの「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」 を全曲を取り上げ、大変な話題となりました。本アルバムの発売記念として、2019年4月13日にサントリーホール・大ホールにて「福間洸太朗ピアノ・リサイタル~ウィーンとパリにて~」が開催されます。演奏会の詳細はこちらをご覧ください。

本アルバムに対する思いを福間氏本人が語っています。

アルバム情報

商品情報
アルバムタイトル:France Romance
アーティスト:福間洸太朗(Kotaro Fukuma)
レーベル:Naxos Japan
品 番:NYCC-27308
発 売 日:2019年4月17日(予定)日本・ヨーロッパ同時発売
価 格:2,500円(消費税別)

収録楽曲
ドビュッシー:夢
ドビュッシー:レントより遅く
フォーレ:8つの小品集Op.84より第5番即興曲、第8番ノクターン
フォーレ:3つの無言歌Op.17
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ラ・ヴァルス(福間洸太朗編)
サティ:ジムノペディ第1番、ジュ・トゥ・ヴ(福間洸太朗編)
プーランク:即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」、3つのノヴェレッテ
ワイセンベルク:シャルル・トレネによる6つの歌の編曲
ルノワール:聞かせてよ、愛の言葉を(福間洸太朗編)     ~全22トラック

レコーディング・データ
2018年11月28~30日/新潟県柏崎市文化会館アルフォーレ
ベヒシュタインピアノ使用(C. Bechstein D-280)
ディレクター&レコーディング・エンジニア:武藤 敏樹(アールアンフィニ)
アシスタント:エンジニア:小島 幸雄
ポストプロダクション・エンジニア:川波 惇
24bit/352.8kHz DXDマスター

【楽譜・初出版】黛敏郎作曲の「12の前奏曲」と「エレジー」

黛敏郎生誕90年記念シリーズとして、スリーシェルズが合同会社ミューズ・プレスへ資料協力をした楽譜が2019年2月22日に2冊の楽譜が発売されます。先行販売は、2月22日から24日かけて東京文化会館にて行われている東京二期会による「金閣寺」(作曲:黛敏郎)の公演にて行われます。一般販売は、2月25日(月曜日)よりミューズ・プレスのウェブショップにて開始します。

今回は2タイトルの楽譜を出版します。詳細は以下の通りです。

ソプラノとピアノのためのエレジー
価格:¥1,000(税込)
ページ数:8ページ
出版番号:MP-02201
企画協力:スリーシェルズ、黛家
発売日:2019年2月22日
発行部数:30部(第1刷)

1948年、東京音楽学校(現東京藝術大学)在学中に作曲された2ページの断片的な歌曲「ソプラノとピアノのためのエレジー」。作曲経緯などは一切分かっておらず、黛によって記された作詞者“Mr. K YABE”の詳細も不明である。


ピアノのための12の前奏曲
価格:¥3,000(税込)
ページ数:44ページ
出版番号:MP-02202
企画協力:スリーシェルズ、黛家
発売日:2019年2月22日
発行部数:50部(第1刷)

1945年から1946年の間に作曲された黛敏郎の初期作品に位置する「12の前奏曲」。もともとは2巻構成の24曲に渡る前奏曲集が構想されたが、黛自身のノートに「十二曲だけで纏めて第一巻とする(第二巻は来年頃着手)」と記されたものの前半の12曲のみが完成に至った。本格的な作曲を開始する準備として位置付けられ作品番号を0としたが、それぞれにタイトルが与えられ個性的な作品が並ぶ。70年の時を経て、スリーシェルズと黛家の協力の下、遂に楽譜が出版される。

黛敏郎による自筆譜表紙


「12の前奏曲」の収録曲目

I. Marche
II. Arabesque
III. Barcarole
IV. Toccata
V. Fantasie
VI. Pastorale
VII. Intermezzo
VIII. Sarabande
IX. Berceuse
X. Nocturne
XI. Sérénade
XII. Élégie

もともとは第1巻と第2巻に分かれる全24曲の前奏曲集となる予定であったが、後半の12曲は構想のみで終わった


黛 敏郎 Toshiro MAYUZUMI(1929-1997)

1929年(昭和4年)2月20日、横浜生まれ。東京音楽学校(東京藝術大学)で橋本國彦、池内友次郎、伊福部昭等に師事。1948年(昭和23年)に作曲した「拾個の独奏楽器の為のディヴェルティメント」により才能を認められる。1950年(昭和25年)作曲の「スフェノグラム」は、翌年のISCM国際現代音楽祭に入選して海外でも知られるようになる。1951年(昭和26年)パリ・コンセルヴァトワールへ留学、トニー・オーバン等に学ぶ。フランスから帰国後、ミュージック・コンクレートや日本初の電子音楽を手がけた。1953年(昭和28年)芥川也寸志、團伊玖磨と「3人の会」を結成。また、吉田秀和等と「二十世紀音楽研究所」を設立。雅楽・声明をはじめ、日本の伝統音楽にも造詣を深める一方、交響曲、バレエ、オペラ、映画音楽等の大作を発表した。1964年(昭和39年)より、テレビ番組「題名のない音楽会」の企画、出演。東京藝術大学講師、茶道「裏千家淡交会」顧問、評議員。「日本作曲家協議会」会長、「日本著作権協会」会長などを歴任した。1997年(平成9年)4月10日逝去。 主な作品は「ルンバ・ラプソディ」(1948)、「饗宴」(1954)、「曼荼羅交響曲」(1960)、「シロフォン小協奏曲」(1965)、オペラ「金閣寺」(1976)、オペラ「KOJIKI」(1993)、バレエ「The KABUKI」(1986)、バレエ「M」(1993)他がある。ピアノ曲は、「前奏曲集」「金の枝の踊り」「天地創造」などがある。  受賞歴は「涅槃交響曲」(1958)第7回尾高賞、「BUGAKU」(1962)第15回尾高賞、ISCM入選(昭和31、32、38年)。毎日映画コンクール音楽賞(昭和25、32、38、40年)。毎日演劇賞(昭和33年)。ブルーリボン賞(昭和40年)。仏教伝道文化賞(昭和50年)。紫綬褒章(昭和61年)。受賞歴は「涅槃交響曲」(1958)第7回尾高賞、「BUGAKU」(1962)第15回尾高賞、ISCM入選(昭和31、32、38年)。毎日映画コンクール音楽賞(昭和25、32、38、40年)。毎日演劇賞(昭和33年)。ブルーリボン賞(昭和40年)。仏教伝道文化賞(昭和50年)。紫綬褒章(昭和61年)。