【新刊情報】アレクシス・ワイセンベルク「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」

ピアニストとして世界的に知られているアレクシス・ワイセンベルクが編曲をした作品、通称「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」の楽譜をマルク=アンドレ・アムランの校訂で2018年11月上旬に出版いたします。

Alexis Weissenberg - 1974 At home J.D.Wilson

アレクシス・ワイセンベルク 1974 At home J.D.Wilson

アレクシス・ワイセンベルク(1929-2012)は20世紀を代表するクラシックピアニストで、世界的な知名度を誇り、日本ではファンクラブが創設されるほど大変な人気を博しました。EMI、ドイツグラモフォンなどのメジャーレーベルに膨大な量の録音を残しており、20世紀後半に最も成功しピアニストと言えるでしょう。彼はまた同時に作曲家でもあり、ジャズをはじめとしたポピュラー音楽にも大きな興味を示していました。今年7月には独Schott社よりピアノ作品集が出版され話題を呼びました。自作自演の録音は存在していないようですが、テレビでジャズのスタンダードを即興で演奏して見せたり、シャルル・アズナヴールと自身のオリジナルの伴奏で共演した映像が残っています。(画像提供:Alexis Weissenberg Archive)

 

Mr. Nobody plays Trenet [LD I-600] (Alexis Weissenberg Archive所蔵)

「シャルル・トレネによる6つの歌曲の編曲」は、1950年代に ≪ Mr. Nobody plays Trenet ≫ (左画像) というタイトルでフランスの大歌手 シャルル・トレネ (1913-2001)による6つのシャンソンをワイセンベルクが編曲して収録し、フランスの音楽レーベル Lumenよりリリースされました。このMr. Nobodyがワイセンベルクだったことがかなり後に発表され、プレス枚数も少なかったことから、かねてより知る人ぞ知る録音でした。この録音を元に、これまた世界的ピアニストであるマルク=アンドレ・アムランが採譜を起こしを行い、ワイセンベルク本人の了承の下、2008年にイギリスの音楽レーベル Hyperion からリリースされた ≪ Marc-André Hamelin in a state of jazz ≫ というアルバムにワイセンベルク作曲の「ジャズ様式のソナタ」と共に収録されました。このCDのリリースより11年の月日が経ち、現在まで世界中から楽譜出版を望む声が上がっていましたが様々な事情により本作品の楽譜出版が難航していました。今回、アレクシス・ワイセンベルクのご遺族とマルク=アンドレ・アムランの全面的な協力により楽譜の出版が現実となります。


校訂者のマルク=アンドレ・アムランによる演奏

アムランがワイセンベルクに編曲について尋ねたところ「楽譜は書いていないので演奏するなら採譜をする必要がある」と聞いたそうですが、近年になってワイセンベルクのご遺族によりBoum!とMénilmontant以外の4曲の自筆譜が発見されました。それらの自筆譜はワイセンベルク自身の録音と自筆譜に大きな相違点があり、また楽譜もスケッチ風に書き留められているために、アムランが自身の採譜版とその新発見の自筆譜を推敲して作り上げた録音版とワイセンベルク自身の自筆譜版を二段で同時表記した楽譜となる予定です。なお、楽譜の解説はマルク=アンドレ・アムラン、自筆譜の発見エピソードは発見者であるマリア・ワイセンベルクにより執筆されます。

今回出版する編曲作品の校訂者であるマルク=アンドレ・アムランは編曲について以下のように述べています。

1950年代後半、Lumen社よりMr. Nobody plays Trenetと呼ばれるEPレコードが販売されました。そのレコードには、フランスのシャンソン歌手であるシャルル・トレネの歌をピアノ用に書き換えた面白くも一風変わった編曲が収録されていました。長らくの間、”Mr. Nobody”の正体は秘密とされていましたが、最近になってその正体がアレクシス・ワイセンベルクだったということが分かったのです。2004年にワイセンベルクと初めてお会いする以前、私は、彼が自身の名でこのレコード残さなかった理由は、当時、真面目なクラシックピアニストがポピュラー音楽に手を出すとキャリアに傷が付く可能性があったからだと推測していました。(現在は状況も変わり、そのようなことは歓迎され、むしろレコード会社により推奨されるのです)しかし、ワイセンベルクは「単に録音の出来が十分に良いと思わなかっただけだった」と私に話したのを覚えています。[…] 幾度と無くこの楽譜について訊かれていたので、遂に出版されることをとても嬉しく思います。


◾️楽譜名
アレクシス・ワイセンベルク編曲
「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」

◾️収録曲
Coin de rue (街角)
Vous oubliez votre cheval (馬を忘れていらっしゃいますよ)
En avril, à Paris (四月、パリにて)
Boum! (ブン!)
Vous qui passez sans me voir (あなたは私を見ずに通り過ぎ去った)
Ménilmontant (メニルモンタン)

◾️校訂・解説
マルク=アンドレ・アムラン

◾️解説の言語
日本語、英語、フランス語

◾️予定価格
税込3000円

◾️出版日程
2018年11月上旬


以下のフォームに登録していただけますと楽譜の販売開始日にメールをお送りいたします。なお、こちらで登録して頂いた方は、こちらの楽譜のご注文に限り日本国内での楽譜の送料が無料(普通郵便)となります。

こちらの編曲作品は10月28日の東京で開かれるジョイント・コンサートにて演奏されます。


アレクシス・ワイセンベルクについてもっと知りたい方へ(画像をクリック)

ロン・イェディディアによるピアノ作品【楽譜刊行開始のお知らせ】

合同会社ミューズ・プレスよりイスラエル生まれのアメリカ在住のピアニスト・作曲家であるロン・イェディディアのピアノ作品の楽譜の刊行を開始することが決定しました。

ピアノ曲やオーケストラ曲を中心に世界的に評価を受けている現代を代表する作曲家でもあるイェディディア。実は、イェディディアのピアノ曲の楽譜が出版社から正式に刊行されることは今回が初めてです。最初を飾る刊行開始楽譜は以下の2曲、イギリスのAltarus Recordsから2001年にリリースされた自作自演CDアルバム “Yedidia plays Yedidia: Piano Works“にも収録された人気曲です。

Ether (1996) 【エーテル】
序文:ロン・イェディディア
価格:2900円(税込み)
仕様:菊倍判/12ページ

Toward the Gardens of Heaven (1997)【エデンの園に向かって】
序文:ロン・イェディディア
価格:4900円(税込み)
仕様:菊倍判/28ページ


ロン・イェディディア プロフィール

1960年、イスラエルのテルアビブに生まれる。幼い頃からアルフレッド・コルトーの弟子であったプニーナ・ザルツマンのもとでピアノの教育を受け、8歳で「Young Concert Artists Competition of Israel」で第1位を受賞する。15歳になると、ピアニストではなく作曲家の道に進むことを決意する。その後は、ジュリアード音楽院に入学し、作曲科博士課程を専攻。デイヴィッド・ダイアモンドやミルトン・バビットの元で研鑽を積みながら、1987年と1989年には、ジュリアード作曲コンクールに入賞する。在学中、彼の作品が音楽プロデューサーのトーマス・フロストの目に留まり、イェディディアのピアノソナタ 第2番が世界中で放送され、1987年にはピアノソナタ 第3番『叫び』がイスラエルの音楽番組にも取り上げられる。ジュリアード音楽院卒業後も作曲家として活躍し、2006年にはサン・アントニオ国際ピアノコンクールのために委嘱作品『ラプソディ』を作曲。2007年には、シアトル室内楽協会主催の音楽祭のためにピアノとクラリネットとチェロのためのトリオの作品を作曲し大好評を博す。2009年には、マンハッタンのBaruch Performing Arts Centerで開催された”The Concert Meister Series”のレジデントコンポーザーを務め、数々の作品が有名オーケストラ(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やイスラエル交響楽団他)によって演奏された。彼の作品を収録したCDもこれまでに17枚ほどリリースされている。また教育者としても後進の育成に力を注ぎ多くの作曲家やピアニストを輩出している。

http://ronnyedidia.com/