諸井三郎によるピアノソナタ

2019/05/27更新:以下の楽譜の販売を開始しました。
諸井三郎:ピアノソナタ 第二番 変イ短調 作品7 (1927)
諸井三郎:前奏曲とアレグロ・ジョコーソ (1970-1971)


皆さんは「日本の作曲家」と言われるとどなたを思い浮かますか?

現在、日本では戦前・戦後を生きた日本の作曲家を取り上げる動きが徐々に活発化し、再評価の兆しは見えていますが、情報や資料・楽譜の入手の困難さ故、その時代を生きた作曲家たちの全貌はなかなか見えてきません。大変な傑作にも関わらず埋もれてしまった作品を今現代にもう一度蘇らせることも出版社の役目だと筆者は考えています。これまでミューズ・プレスは欧米の作曲家・編曲家の作品を中心に出版をしていましたが、来年からは本格的に日本の作曲家の作品も出版することとなりました。年末から来年にかけて諸井三郎(1903-1977)のピアノ作品を明治学院大学・日本近代音楽館とご遺族の承認の得て出版します。ちなみに、彼の存命中に出版された作品は数曲の日本歌曲と「弦楽六重奏」「弦楽三重奏「第二ピヤノ奏鳴曲」「ピアノのための組曲」「ロマンス」(ピアノのために)や4曲の管弦楽曲のみです。

(ピアノソナタ第2番)の楽譜。2000部の出版記録が残っているが、現在では数十部しか現存していない(筆者所蔵)

諸井三郎の第二ピヤノ奏鳴曲の楽譜(所蔵:筆者)

諸井三郎は東京都に生まれ、幼い頃から兄のもとでピアノの手ほどきを受けました。小学生の頃にピアニストである小倉末子によるオール・ベートーヴェン・プログラムの演奏会に接する機会があり、その作品に感銘を受け作曲家になることを志します。東大在学中にはピアノをヴィリ・バルダスとレオニード・コハンスキの下で学びました。20代で結成した音楽グループ「スルヤ」の演奏会では数々の自作曲を発表し、それらの自作曲は注目を浴びましたが、諸井三郎は独学による自身の探究心に限界を感じ1933年にドイツ・ベルリンに留学します。ベルリン留学中は、当時ヨーロッパで流行していた新古典主義音楽の影響も受けながら「交響曲第1番」や多くの器楽曲を発表します。帰国後も創作意欲は衰えませんでしたが、日本が戦争への道と進んでいる不安な様子は作品にも表れます。この頃に最高傑作といわれる「こどものための小交響曲」や「交響曲第3番」が生まれました。戦後は、作曲活動からは一線を引き、作家として活動し多数の著書を残しました。

今回、諸井三郎によるピアノのための作品の出版第1弾として、彼が1927年に作曲したピアノソナタ 変イ短調を出版します。この作品は音楽グループ「スルヤ」の演奏会でも取り上げられました。当時はブラームスやベートーヴェンなどがまだまだ珍しかったということもあり、諸井三郎はそれらの作曲家に影響受け、このピアノソナタにもその影響が伺えます。自筆譜にはSonate Nr. 2と書かれていますが、後に作品1とし「ピアノソナタ 変イ短調」(作品1)となりました。


【ミューズ・プレス – 日本の作曲家シリーズ・諸井三郎】
作曲者:諸井三郎
作品名:ピアノソナタ 変イ短調(第1番・旧第2番) – 作品1
予定価格:税込2500円
出版予定日:2018年12月25日

以下の予約フォームに登録していただけますと、こちらの楽譜のご注文に限り日本国内での楽譜の送料が無料(普通郵便)となります。販売時にミューズ・プレスからご連絡いたします。

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諸井三郎「ピアノソナタ 変イ短調」のコーダ(演奏:江崎昭汰)