2022年8月の新刊情報(ダニエル・クラーメル、ロベルト・ピアーナ、アントニオ・ポンパ=バルディ、ユーニー・ハン、ヴァーツラフ・クラフリーク)

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2022年8月の新刊情報をお届けします。本日よりご予約の受付を開始いたします。
なお、これらの楽譜の販売・発送開始予定日は2022年8月25日です。

ダニエル・クラーメル:6つの演奏会用練習曲 & クレド
ウクライナ出身のジャズピアニストであるダニエル・クラ―メルのピアノ作品がミューズプレスから出版です。今回出版する《6つの演奏会用練習曲》は1987年、ロシア(旧ソ連)の出版社からニコライ・カプースチンの《8つの演奏会用練習曲》と合本で9930部ほど発行されたにも関わらず大変入手困難な楽譜でありました。しかし、今回の再出版にあたって、クラ―メルによって運指の追加、テンポの見直しなど楽譜が改訂されることになりました。また、演奏会用練習曲と併せて、これまでは第三者による非公式の採譜版しか出回っていなかった彼の代表作である《クレド》のロングバージョンもクラーメルによって監修され、この楽譜に正式版として収録されました。


V.クラフリーク:ジャズの様式による練習曲 – ピアノのために 第1巻(第1番-第5番)
チェコ共和国のピアニストであるヴァーツラフ・クラフリーク作曲による《ジャズの様式による練習曲》(全15曲・全3巻予定)の楽譜が遂に刊行開始します。クラフリークは幼い頃から父の影響でジャズやクラシック音楽を親しみ、プラハ音楽院ではヨゼフ・スークのピアノ作品の演奏で知られるパヴェル・シュチェパーンのもとでピアノを学びました。彼は「自分自身を作曲家と意識したことない」と語っており、今回出版される《ジャズの様式による練習曲》は、時間の経過と共に決まった形をとるようになったクラフリークの即興演奏が投影されたものであり、この”即興演奏”は、ジャズやクラシック音楽の語法に基づいたものです。1曲あたり3~4分と演奏会のアンコールピース、発表会で披露する曲としても大変ピッタリです。


ラフマニノフ/ユーニー・ハン:アンダンデ・カンタービレ《パガニーニの主題による狂詩曲》より(ピアノ独奏版)
数々のピアノコンクールに入賞し、現在は香港バプティスト大学ピアノ科助教授を務めるユーニー・ハン。彼女がセルゲイ・ラフマニノフ作曲《パガニーニの主題による狂詩曲》の最も有名な第18変奏「アンダンテ・カンタービレ」をピアノ独奏用に編曲をしました。この編曲は、2020年にリリースしたピアノアルバム「Hollywood Romance」(Universal Classics)に収録されています。この「アンダンテ・カンタービレ」は、1980年公開の恋愛映画『ある日どこかで』の愛のテーマとして使われているほか、CMなどでもよく使用されていることから、ラフマニノフの書いたメロディの中でももっとも有名なものでしょう。


レスピーギ/アントニオ・ポンパ=バルディ:ヴァイオリン・ソナタ(ピアノ独奏版)
「ローマ三部作」で知られるイタリアの作曲家であるオットリーノ・レスピーギの作品の中でも傑作と言われれている《ヴァイオリンソナタ》がアントニオ・ポンパ=バルディの手によって“ピアノソナタ”として生まれ変わりました。この編曲はコロナウィルスが大流行した時期に数ヵ月ほどで書き上げられ、ポンパ=バルディの自奏動画がYouTubeに投稿されました。演奏動画は大好評で楽譜の出版を望む声が多くありました。曲中では、より効果的な音響空間を作り出すためにソステヌート・ペダルを多用する必要があり、必然的に難易度の高い作品に仕上がっています。なお、演奏動画ではポンパ=バルディの高度なペダルテクニックを垣間見ることができます。


ロベルト・ピアーナ:プッチーニの《ラ・ボエーム》による大幻想曲(ピアノのために)
イタリアを代表するコンポーザー=ピアニストであるロベルト・ピアーナはピアノのためのオペラ・パラフレーズ(幻想曲)を書く行為を「楽曲を洗練する上での研究所」と語り、この創作行為を通して、ピアノの可能性を追求しました。今回、ピアーナによって作られた「プッチーニの《ラ・ボエーム》による大幻想曲」は、演奏に約30分かかり、演奏には技術的にも音楽的にも大変な労力を要します。曲中、私たちが一度はどこかで聞いたことがある「私の名前はミミ(Sì, mi chiamano Mimì)」や「私が街を歩けば(Quando men vo)」、 「年老いた外套よ、きいておくれ(Vecchia zimarra, senti)」などのアリアも登場し、どこか親しみを感じることでしょう。