2023年6月の新刊情報(服部百音、ニコライ・ホジャイノフ、アルフォンソ・ソルダーノ)

2023年6月の新刊情報をお届けします。

服部百音:L.v.ベートーヴェン 《ヴァイオリン協奏曲 ニ長調》作品61へのカデンツァ

印刷版
若手ヴァイオリニストの中でも随一の人気と実力を誇る服部百音。21歳の時に初めてベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトの実演に挑む際、当時の桐朋学園大学学長だった梅津時比古氏の助言で書き下ろし、見事サントリーホールで演奏をした自作のカデンツァが登場です。この曲へのカデンツァは多くの作曲家やヴァイオリニストによって書かれていますが、服部は良く知られたクライスラーのカデンツァを導入に引用してオマージュを捧げています。

服部百音(はっとり もね)
1999年9月14日生まれ。 5歳よりヴァイオリンを始め、幼少期より辰巳明子、ザハール・ ブロンに師事。 8歳でオーケストラと初共演し、2009年にポーランドでのリピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少第1位並びに特別賞を受賞。10歳より演奏活動を始め11歳でミラノのヴェルディホールでリサイタルを行いグランドデビュー。ロシア、ヨーロッパに於いても演奏活動を始める。 2013年にはヤング・ヴィルトゥオーゾ国際コンクールでグランプリ、新曲賞を受賞。 また同年開催のノヴォシビルスク国際ヴァイオリンコンクールでは13歳でシニア部門に飛び級エントリーし、史上最年少グランプリを受賞。 2015年にはボリス・ゴールドシュタイン国際コンクールでグランプリを受賞。 2016年10月「ショスタコーヴ ィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ワックスマン:カルメン 幻想曲」でCDデビューし、レコード芸術の特選盤に選出される。 2017年新日鉄住金音楽賞、岩谷時子賞、 2018年アリオン桐朋音楽賞、服部真二音楽賞、2020年ホテルオークラ音楽賞、出光音楽賞を受賞し 2021年1月にはブルガリ アウローラ アワードを受賞した。 現在はN響、読響、東フィル、東響、日フィルをはじめとする数々の著名オーケストラ、指揮者と共演を重ね海外でもマリインスキー劇場をはじめ様々な演奏活動を行っている。 21年10月より桐朋学園大学音楽学部大学院に進学。使用楽器は日本ヴァイオリンより特別貸与のグァルネリ・デル・ジェス。


ニコライ・ホジャイノフ:平和の花びら – ピアノのために

楽譜表紙(MP-08803)

印刷版】【ダウンロード版
ニコライ・ホジャイノフは、2022年11月にジュネーブの国連事務局の「人権と文明の同名の間」で行われたコンサートのために、《平和の花びら》という名のピアノ作品を作曲しました。ホジャイノフはこれまでに数曲の編曲作品を生み出し、これまでに2曲出版されていますが、自作の作品の出版は初めてです。

最近は誰もが戦争のことを気にかけている状況なので驚くことでなくなったかもしれませんが、国連によると現在、世界で25もの国々が戦争状態にあるそうです。そのことを思い、この演奏会のために特別にこの曲を作り、国連で初演しました。 私はこの作品を「Petals of Peace(Pétales de la Paix、平和の花びら)」と名付けました。 平和とは蜃気楼のようなもの、美しい幻影のようなものです。時には目にすることができるし、触れることもできるけれど、同時に、私たちみんなが求め、何よりも必要とするものでもあります。 この作品は、美が支配し、私たちが一つでいられる、別の世界を表すものです。それは、私たちが永遠に望み続ける夢といえるでしょう。
―ニコライ・ホジャイノフの解説より

ニコライ・ホジャイノフ
ピアニスト、ニコライ・ホジャイノフの音楽性と恐るべきテクニックは、全世界の聴衆を魅了している。これまで、ニューヨークのカーネギーホールやリンカーン・センター、ワシントンのケネディ・センター、ロンドンのウィグモアホール、パリのシャンゼリゼ劇場やサル・ガヴォー、モスクワのチャイコフスキーホール、東京のサントリーホール、シドニー・オペラハウス、チューリッヒのトーンハレ、ローマのクイリナーレ宮殿、マドリード国立音楽堂、国連など、世界の主要なコンサートホールで演奏。リサイタルやコンチェルトで多くの会場を満席にしている。

Photo: Marie Staggat

アルフォンソ・ソルダーノ:ラフマニノフの作品に基づく2つのピアノ編曲

楽譜表紙(MP-02904)

印刷版】【ダウンロード版
ラフマニノフやボルトキエヴィチ等のロシア音楽を得意とするアルフォンソ・ソルダーノによる新たなラフマニノフのピアノ編曲作品を出版します。今回、ラフマニノフの代表作として語られる「アダージョ」(交響曲第2番より)、そして、元々は2台ピアノのために作曲された「愛…夜」(組曲第1番より)がピアノ独奏版として生まれ変わります。ピアノが本来持つ特性を活かしつつも、さまざまな楽器の役割をピアノ一台で表現しています。

トランスクリプションやパラフレーズは、知的な引用や単なる移調ではなく、最も文化的な意味で、独自の生命を持つ作品としてとらえることができる。ピアノ演奏は、本来、さまざまな楽器の担い手(オーケストラ、室内楽、声楽、オペラ)のために考えられたもので、これは白黒写真の発明に匹敵するほどの重要な発明である。実際、この最新技術の出現以前には、美術館にある芸術作品のようなものを深化させ、遠くに届ける手段は存在しなかった。白黒写真は、オリジナルの色彩の復元することができないが、作品の特徴を忠実に再現することができる。トランスクリプションも、高度な技術を用いることで、楽曲のイメージや感覚、様式、楽器の知識に関する情報を同じように提供しており、稀に原曲よりも詳細な情報をもたらすこともある。(ラヴェルの《ラ・ヴァルス》の2台ピアノ版など)
―アルフォンソ・ソルダーノの解説より

アルフォンソ・ソルダーノ
生来の技巧派、洗練された音楽解釈で高い評価を受けているアルフォンソ・ソルダーノ(1986・イタリア、トラ―ニ在住)はニコロ・ピッチンニ音楽院にてアルド・チッコリーニやピエルイージ・カミーチャに師事し、若くして優秀な成績“Distinguished Degree with Honor”で卒業した。またサンタ・チェチーリア国立音楽院においてもベネデット・ルポに師事しディプロマを取得。数々のコンクールにおいて優勝し、現在はイタリア各地でのマスタークラスをはじめ、ヨーロッパ各地に招待されている。2013年4月には“International Gold Medal Prize for Best Italian Artist (ベスト・イタリアン・アーティストに贈られる賞)”を受賞し、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の式典に出席。17歳のころよりバカウ・フィルハーモニー管弦楽団のラフマニノフ作品の公演に出演している他、イタリア国内外のオーケストラにてO.Balan、 D. Frandes、 M. Cormio、V. Zhadkoといった指揮者と共演している。