2022年11月の新刊情報(ホジャイノフ、イェディディア、カミェニャク、クラフリーク、石月一匡)

2022年11月の新刊情報をお届けします。本日より印刷版及び紙版のご予約の受付を開始いたします。これらの楽譜の販売・発送開始予定日、ダウンロード可能日は2022年11月30日です。

ニコライ・ホジャイノフ:「さくら・さくら」に基づく即興曲(ピアノ独奏のために)
桜に魅せられたニコライ・ホジャイノフが日本民謡「さくらさくら」に基づく即興曲を書き上げました。桜が持つ不思議な明暗や美、儚さがホジャイノフのイマジネーションと見事な融合を果たしています。日本で始めて桜を見たニコライ・ホジャイノフの衝撃がこの曲から伝わってくることでしょう。
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ニコライ・ホジャイノフの解説より
今あなたが⼿にしているのは、私が⽇本の有名な歌曲「さくらさくら」にもとづいて書いた、即興曲です。⽇本を訪れるようになってから、その花が伝説ともいえるような桜を⾒ることは、私にとってずっと夢でした。それはどんなものだろうかと思いを馳せる美的な楽しみだけでも、私の⼼は躍り、その姿を⾒られる⽇が待ち遠しくなりました。

Photo: Marie Staggat

ニコライ・ホジャイノフ(Nikolay Khozyainov)
ピアニスト、ニコライ・ホジャイノフの音楽性と恐るべきテクニックは、全世界の聴衆を魅了している。これまで、ニューヨークのカーネギーホールやリンカーン・センター、ワシントンのケネディ・センター、ロンドンのウィグモアホール、パリのシャンゼリゼ劇場やサル・ガヴォー、モスクワのチャイコフスキーホール、東京のサントリーホール、シドニー・オペラハウス、チューリッヒのトーンハレ、ローマのクイリナーレ宮殿、マドリード国立音楽堂、国連など、世界の主要なコンサートホールで演奏。リサイタルやコンチェルトで多くの会場を満席にしている。また多くの大統領や首相、文化界、政治界の要人から称賛を受けている。2018年1月の東京サントリーホール公演には、上皇明仁陛下、上皇后美智子陛下(当時の天皇皇后陛下)が臨席された。また 2022年には、スペインの王家から騎士の称号と勲章を授けられた。 ホジャイノフはこれまで、ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団、東京交響楽 団、シドニー交響楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団、チェコ・ナショナル交響楽団、ロシア国立交響楽団、ロシア・フィルハーモニー管弦楽団、読売日本交響楽団、アイルランド RTEナショナル交響楽団などを含む多数のオーケストラと共演。
https://www.nikolaykhozyainov.com/


ロン・イェディディア:ピアノソナタ第5番
ロン・イェディディアの数多くのピアノ作品の中でも最長の作品かつ彼の作曲人生の中で記念碑的存在となっているピアノソナタ第5番。この作品は1991年から1992年にかけて作曲され、マルク=アンドレ・アムランに献呈されました。単一楽章ではありますが、全5部構成で演奏には1時間ほど要します。2018年、約26年の時を経てピアニストの江崎昭汰によって日本で世界初演が行われ大きな話題となりました。
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ロン・イェディディア(Ronn Yedidia)
彼の作品は過去20年間に国際的な注目を浴びるようになりました。彼の作品は世界の主要なコンサートホールで取り上げられている他、映画、ラジオ、テレビ番組にも登場し、彼の作曲家兼ピアニストとしての地位を確かなものにしています。彼は現在まで、独奏から大編成オーケストラ作品、宗教音楽やフォークソングなども生み出しています。2007年5月にはオーケストラ作品「ステップ・イン・ザ・ワンダーランド」の世界初演がイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団によって行われました。主な作曲委嘱元には サン・アントニオ国際ピアノコンクール(ラプソディー、2006年)、 シアトル室内楽協会(ピアノとクラリネットとチェロのためのトリオ、2007年)、 ニューヨークのZamir Choraleがあり、2009年には、マンハッタンのBaruch Performing Arts Centerで開催されたThe Concert Meister Seriesのレジデントコンポーザーを務め、数々の作品がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等の著名なオーケストラによって演奏されました。1994年にはワンダ・トスカニーニ=ホロヴィッツの依頼によりウラディミール・ホロヴィッツの未出版ピアノ作品の校訂と録音にも携わっています。


トマシュ・カミェニャク:忘却のワルツ 作品69 & 舟歌 作品56
ヨーロッパを中心に活躍するコンポーザー=ピアニストのトマシュ・カミェニャクによるピアノ作品が初の出版です。「忘却のワルツ 作品69」はカミェニャクが最も敬愛する作曲家であるフランツ・リストの影響を受け作曲されました。全5曲で構成され、悲しげなワルツが並びます。なお、演奏の難易度は中級者から上級者向けとなっています。「舟歌 作品56」は、ショパンの代表曲である「舟歌」の”影”の部分を描いた作品であり、薄暗く憂鬱な雰囲気が立ち込めます。
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カミェニャクの解説より
忘却のワルツ 作品69
ワルツの構想は、ガブリエラ・ツェンツェロルツ・ユンギエヴィッチ(Gabriela Szendzelorz-Jungiewicz)から得たものです。2004年、私がまだ学生だった頃、彼女からワルツを作曲してほしいと頼まれ、それがきっかけで『3つのワルツ』作品33を作曲し、彼女は今も弾き続けています。 2018年に、《忘却のワルツ(Die Walzer der Vergessenheit)》 作品69を完成させました。原案を与えてくれたガブリエラに感謝したいと思っています。これらのワルツはリストの忘れられたワルツ(Valses Oubliées)に倣ったものです。 これらは別々に存在し、必ずしも一連の作品として演奏される必要はありません。

舟唄 作品56
2013年10月、私はヴェネチアにいました。舟歌のインスピレーションを得るのにふさわしい場所でしたが、《舟歌》 作品56は故郷のTarnowskie Góry(タルノフスキェ・グルィ)で作曲しました。ピアニストは舟歌といえば、まずショパンを連想するのではないでしょうか。しかし、ヴェネチアはショパンが魅力豊かに描写したような、美しい観光都市であるとは限りません。時には霧が立ちこめ、すべてが薄暗く不明瞭になることがあるので、それを舟歌で伝えられたらと思っています。

トマシュ・カミェニャク(Tomasz Kamieniak)
トマシュ・カミェニャクはピアニストであり作曲家である。フランツ・リストやシャルル=ヴァランタン・アルカンの曲はもとより、知名度の低い作曲家の曲も好んで演奏している。 カトヴィツェのポーランド国立カロル・シマノフスキ音楽アカデミーのピアノ科にて、ヨアンナ・ドマンスカに師事。卒業後は、ドイツのフランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学のロルフ=ディーター・アレンスに師事した他、コンスタンチン・シェルバコフ(マスタークラス)、ズビグニエフ・ラウボ教授(カトヴィツェの大学院)、ロンドンのレスリー・ハワードの下でさらに演奏技術に磨きをかけた。 第4回ワイマール国際フランツ・リストコンクールにて特別賞受賞。 出版社Acte Préalable主催の第4回録音プロジェクト「忘れられたポーランドの音楽」コンクールでグランプリを受賞し、ヨゼフ・ヴィニアフスキのピアノ作品を録音。カトヴィツェの政府機関であるマーシャル・オフィスとバイロイトのワーグナー協会から奨学金を授与されたほか、タルノフスキー・ゴーリー市長から文化的功績を称えて賞を授与されている。


ヴァーツラフ・クラフリーク:ジャズの様式による練習曲 – ピアノのために 第2巻(第6番-第10番)
チェコ共和国のピアニストであるヴァーツラフ・クラフリーク作曲による《ジャズの様式による練習曲》(全15曲・全3巻予定)の第2巻の楽譜が第1巻に続いて出版されます。クラフリークは幼い頃から父の影響でジャズやクラシック音楽を親しみ、プラハ音楽院ではヨゼフ・スークのピアノ作品の演奏で知られるパヴェル・シュチェパーンのもとでピアノを学びました。彼は「自分自身を作曲家と意識したことない」と語っており、今回出版される曲集《ジャズの様式による練習曲》は、時間の経過と共に決まった形をとるようになったクラフリークの即興演奏が投影されたものであり、この”即興演奏”には、ジャズやクラシック音楽の語法に基づいたものです。1曲あたり3~4分と演奏会のアンコールピース、発表会で披露する曲としても大変ピッタリです。
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ヴァーツラフ・クラフリーク(Václav Krahulík)
1966年、チェコスロバキアのウースチー・ナド・ラベム(現在のチェコ共和国)に生まれる。テプリツェ音楽院、そしてプラハ音楽院のパヴェル・シュチェパーンのクラスでピアノを学ぶ。若い頃は、ピアノのヴィルトゥオーゾとして、自作の«ソナタ 嬰ヘ調»の演奏で現代作品の最優秀解釈賞などいくつかの賞を受賞している。ソリスト、室内楽奏者、伴奏者として演奏活動を行っている。ソロCDを数枚録音しているほか、数多くのレコーディングに参加している。また、ウースチー・ナド・ラベムのヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェ大学などで音楽教師も務めている。フランツ・リストの後期作品や、音楽的ロマン主義からモダニズムへの転換に関する著作など、音楽学的な著作もある。クラシック音楽のピアニストのキャリアとしてだけでなく、時にはポピュラー音楽や音楽劇のプロジェクトにも参画し、ホルン奏者で指揮者であるラデク・バボラークがアストル・ピアソラの作品に捧げたオルケストリーナ・アンサンブルのCD2枚に参加している。


石月一匡:チェロとギターのための編曲集
昭和のギター界を牽引した名ギタリスト石月一匡による『チェロとギターのための編曲集』が再版。バロック時代から古典派時代の数々の名曲が1冊に収まっており、ギター奏者及びチェロ奏者にとって重要なレパートリーとなること間違いないでしょう。
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収録楽曲
F. クープラン:5つの演奏会用小品
A. ヴィヴァルディ:ソナタ ホ短調 作品14-1 RV40
G. Ph. テレマン:ソナタ ホ短調 TWV 41:e5
G. B. サマルティーニ:ソナタ ト短調
F. J. ハイドン:アダージョ(チェロ協奏曲 ニ長調 第2番 Hob.VIIb:2)
L. ボッケリーニ :ソナタ イ長調 G. 4
J.-B. ブレヴァル:ソナタ ト長調 作品12-5
W. A. モーツァルト:ソナタ 変ロ長調 K 292/196c
L. V. ベートーヴェン:アンダンテと変奏曲 ニ長調 WoO 44b
F. メンデルスゾーン=バルトルディ:無言歌 作品109
C. サン=サーンス:白鳥(「動物の謝肉祭」より)
P. チャイコフスキー:感傷的なワルツ 作品51-6
G. フォーレ:夢のあとに 作品7-1

序文より
チェロの独奏は普通はピアノまたはチェンバロを伴うが、ギターとの二重奏に適した作品も少なくない。バロック時代及び古典派時代のものがそれである。ギターの音域とチェロの音域が、ほぼ同じであること、してピアノやチェンバロと異なり、ギターにはスラーやポルタメントという弦楽器特有の奏法があること、音色が類似していることなどから、音量のバランスさえ考慮して演奏すれば好ましい二重奏になり得る。曲集中、テレマン、モーツァルト、ベートーヴェンの作品は各々ヴィオラ・ダ・ガンバ、ファゴット、マンドリンからチェロに移したものであり、ギターのパートは、チェンバロ、ピアノまたはチェロから編曲したものである。

石月一匡(いしづき かずまさ)
1933年、長野市生まれ。ギタリスト、ガンビスト、作曲家、編曲家。16歳より、ギターと作曲を独学で始める。1969年、オスカー・ギリアによるマスタークラスのコンクール最優秀賞を受賞。ギター演奏を溝渕浩五郎、阿部保夫、オスカー・ギリアに師事。生涯を通じて、クラシック音楽におけるギターの地位向上に尽力した。ギターはヘルマン・ハウザー3世を愛用。
演奏活動では、ソロ以外にもギター室内楽を重点的に演奏し、数多くの作品を初演した。それらには、ギター五重奏曲(M. カステルヌーヴォ=テデスコ作曲)、ギターオブリガード付き交響曲(ボッケリーニ作曲)、ギター協奏曲(ボッケリーニ作曲、カサド編曲)などが含まれる。
1961年に「ギター室内楽協会」を設立・主催、当時は世界的にもギターを用いた室内楽を演奏する楽団は珍しかった。1983年には、ロココ音楽・古典派音楽の演奏を中心とする合奏団「ボーテン・デル・カンマムジーク」を組織した。出版物は、自作・編曲以外にも「ギター室内楽選集」(全音楽譜出版社)を始めとした室内楽譜が数多く、他にも好評を博した「ジュリアーニ・ギター名曲選」(全音)などがある。